まったく関係ないアプリを作ったチームも
開発に関する講義を受けて、自分たちのロボットアプリを作る生徒たち。自己紹介だけなら「Say」というボックスを使い、そこに名前を並べるだけで完成してしまいます。そのため、工夫が必要です。
自己紹介に合わせて手を挙げさせたり、メガネをPepperにつけさせて最後にメガネを眉間で挙げる動作を加えたり。自己紹介をすることはわかっているので、その方法や動作、最後の一言などのアイディアを考えていました。
講義では、喋りと動作のほかに、受け答えの方法もレクチャーしていました。例えば、「おはよう」といったらPepperも「おはよう」と返す、「こんにちは」には「こんにちは」、「こんばんは」には「こんばんは」といった具合です。Pepperが人の声を待ち受けている際、認識できた言葉に応じて異なる反応を返すというものです。
そのため、チームの1つは、自己紹介そっちのけで、Pepperが「あなたは18歳以上ですか?」という質問を投げかけ「はい」と答えると、「どうぞお通り下さい」と通してくれるアプリを作っていました。
目に見える簡単な開発環境の大切さ
正直なところ、Pepperのプログラミング体験は、「拍子抜けするほど」簡単なものでした。何しろ結果は目の前にあるロボットの動作で確認できるし、動作についてはロボットを使って記録することができるのです。
とりあえずロボットを動かしてみよう、ということであれば、レクチャーを受けて5分以内に身振りをつけて喋らせることができる、といっても過言ではありません。
だからこそ、よしもとロボット研究所がPepperのアプリの開発に携わっていることも納得ができます。
お笑いというコミュニケーションも非常に高度なものではありますが、それがロボットによって作り出せたら、一目置かれる存在になるはずです。髙橋氏は、ピン芸人のトップを競う「R-1グランプリ」へのPepper参戦にも取り組んでおり、今後もテレビへの登場機会が増えていくことになるでしょう。
開発環境の簡単さは、「ちょっと作ってみよう」という人を増やす。プログラミング言語にしてみれば非常に一般的な話ではあるのですが、目の前の大きなロボットを動かしてみると、この一般論をより強く理解できるようでした。
そしてもう1点、プログラミングの基礎知識は、開発環境が変わっても、その環境の流儀を理解すれば、そのまま活用でき、スキルの汎用性も確認できました。
Pepperは、秋葉原の3331 Arts ChiyodaにあるAldebaranのアトリエで、レクチャーもしくはタッチ&トライが楽しめます。夏休みに、訪れてみてはいかがでしょうか(関連リンク)。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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