気温は測れないけど、気温っぽい温度は測れる
放射式温度系の弱点は、見えないものの温度は測れないという点。まぁカンタンに言うと、気温は測れない。でも部屋や屋外で温度を測ってみると、気温に近い値が表示される。
たとえば部屋で測った温度は、室温じゃなくて、その先にある壁の温度だ。だからエアコンの風が直接当たる壁だったり、日差しが当たる壁だと室温とはかけ離れた温度が表示される場合がある。
また屋外の場合は、視界に見える道路や家屋の壁、植木の木々の温度などさまざまな温度の平均温度が表示されている。ただし正確には、空「気」の「温」度じゃない。
それが顕著に分かるのは、温度計を空に向けたときだ。なぜか気温34度近くあるのに、空に向けると7.8度(笑)。これは空には熱を反射してくるものがなにもないため、誤動作してしまっている。
同様にコップに入れた水の温度なども誤動作するので注意。場合によってはコップの表面温度になってしまうこともあれば、運よくコップの中の水の温度が測れるときもある。時間が経てば、中の水とコップの温度がほぼ同じになるので、正しく温度を測定できるようになる。
このように、見えないものの温度は正しく測定できないのが放射温度計の弱点だ。
ムダな電気探し隊の強力ウェポンとして
この放射温度計は、電気のをムダを調べるのにも便利だ。
パソコンやAV機器周りのコンセント、デジタルガジェットを充電するコンセントは、ACアダプターがアレコレと差し込まれたままという状態が多い。中には「ACアダプターは差し込まれているものの、その先には何もつながっていない」なんてものも。
ひとつひとつのACアダプターの待機中の消費電力はわずかでも、24時間356日挿しっぱなしで、何個もある場合はチリも積もればで電気をかなり無駄使いしている。中でもムダが多いのは、少し古めのACアダプターだ。スマホの充電器など新しいものは、使用中はそこそこ熱を持つが、使っていないときはコンセントに挿してあっても熱くならない。でも古いACアダプターは使っていないときも熱を持ち、無駄な電気を使っているのだ。
電気のムダはおもに熱として現れることが多いので、放射温度計で次々と調べて目星をつけることができる。目星をつけた機械は、ワットメーターなどを挟んで実際の消費電力を調べるといいだろう。24時間付けっぱなしの無線LAN親機などは、最新モデルの消費電力や通信速度を調べてみて、買い替えを検討してもいいだろう。
また部屋全体の温度を調べて、エアコンを効率的に使うのにも便利だ。先に説明したとおり放射温度計は、気温が測れない。そこで壁や床の温度を、上下左右にスキャンするように測ることで、間接的に部屋の熱い部分と寒い部分を調べる。あとはエアコン風向を変えたり、冷気が届き難い場所には扇風機を併用するなどで、部屋全体をムラなくムダなく涼しくできるだろう。
(提供:サンワサプライ)