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シャープ、Wi-Fi搭載「ヘルシオ」で青森県佐井村と共同キャンペーン

2015年07月22日 13時00分更新

文● 大河原克行、編集●ハイサイ比嘉/ASCII.jp

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無線LAN搭載ウォーターオーブン「ヘルシオ AX-XP1WF-R」

 シャープが、青森県佐井村との共同キャンペーンを開始した。

 7月20日以降、シャープの無線LAN搭載ウォーターオーブン「ヘルシオ AX-XP1WF-R」の購入者先着100人に対して、佐井村特産の限定食材による詰め合わせセットをプレゼントする。また、シャープでは、佐井村の特産品として新たに開発された「ヒラメの豊盃粕漬け」をヘルシオでおいしく焼けるレシピを用意し、クラウドを通じて配信できるようにした。

ヘルシオのメニューに表示された「ヒラメの豊盃粕漬け」のレシピ

ヘルシオで焼き上げた「ヒラメの豊盃粕漬け」

 佐井村は、津軽海峡に接し下北半島の西海岸に位置する、人口2263人の小さな村で、「キラリと光る、地域資源がある」(佐井村・樋口秀視村長)ことが特徴だという。

佐井村の樋口秀視村長

 天然記念物である仏ヶ浦のほか、基幹産業である漁業では、青森県が漁獲高1位を誇る「ヒラメ」の水揚げに大きく貢献。春から夏にかけて盛んな「うに漁」の時期にあわせて、新鮮な生うにを食べるため全国から観光客が訪れる村でもある。

 ここ数年、佐井村では、特産品を通じて村の認知度を高める取り組みを展開しており、その一環として今回シャープと共同でレシピの開発に取り組んだ経緯がある。

 「ヒラメの豊盃粕漬け」誕生のきっかけは、佐井村に住む漁師の和田和彦さんの強い思いだった。

 「佐井村には海の幸、山の幸があるが、その幸を捕るために漁師は命がけで海に出ている。しかし、消費者の魚離れが進み、値段も安い。みんなと同じことをやっていてはダメだ」と考えた和田さんは、佐井村ならではの付加価値をつけ、差別化した製品を売らなくてはならないと考えた。

 「などが本気だば、わいもやる」(おまえたちが本気であれば、自分も協力する)。

 和田さんはそう語り、村の仲間や役場などを引っ張って、新たな特産品の開発に着手した。

 その結果、生まれたのがヒラメの豊盃粕漬けであった。

 佐井村特有の「生締め」「神経抜き」の手法により、鮮度が高いまま水揚げしたヒラメを、弘前市の三浦酒造が生産する日本酒「豊盃」の酒粕でじっくり漬けて、それをヘルシオのレシピによって焼き上げるという仕組みだ。

 「豊盃はもともと出荷数量が少ないため、酒粕も少ない。贅沢な粕漬けだといえる」と、樋口村長は語る。

 だが、残念なことに、和田さんは今年1月に操業中の不慮の事故で亡くなったという。「ヒラメの豊盃粕漬け」の完成品が、多くの人に渡るシーンは見ることができなかった。

 では、佐井村はなぜシャープと組んだのか。

 佐井村の樋口秀視村長は、「知名度の低い佐井村が、知名度を効果的に高めるには大企業と連携するのが得策だと考えた」と語る。

 和田さんは、シャープの本社がある大阪に出向き、レシピ作りにも共同で取り組み、新たな名産品の完成へとこぎつけた。

 「豊盃」の酒粕が少ないため、作ることができた「ヒラメの豊盃粕漬け」は600パック。そのうち、200パックをキャンペーンのプレゼント用に使用。残りの400パックは、後日販売することになるという。価格は1200円を予定している。また、地元特産の「冷凍塩うに」も限定食材詰め合わせセットの中に入れて提供する。

佐井村が新たに開発した「ヒラメの豊盃粕漬け」

青森県弘前市にある三浦酒造の「豊盃」の酒粕を使っている

「冷凍塩うに」も限定食材詰め合わせセットの中に入る

 シャープ・健康環境システム事業本部の阪本実雄副本部長は、「レシピを一緒に開発する中で、話が盛り上がりすぎ、冷めた焼き魚を食べることになってしまった。そうしたところ、佐井村の方々からヘルシオで焼いた魚は、冷めてもおいしいという言葉をいただいた。焼き魚は焼き立てが一番だと思っていた漁師の方々が、ヘルシオの機能に驚いていただいたことが、この共同作業をさらに促進することにつながった」とする。

シャープ・健康環境システム事業本部の阪本実雄副本部長

 そして、「ヘルシオに無線LANを搭載することで、約600種類のレシピに加えて、新たなレシピを追加できる。今後、ほかの自治体との連携して新たなレシピを開発し、それを配信することも考えたい。将来的には、ヘルシオのメニューを日本全国のご当地食材のレシピで埋めてみたい」とも語る。

 ヘルシオでは、スマートフォンアプリ「ココロボ〜ド」により、ユーザーと対話できる機能も搭載している。この機能を利用することで、提供されるレシピの料理を作っていないと場合は促したり、過去に調理した料理を思い出させたり、もう一度作ってみようと思わせる提案も行なえる。

ココロボ〜ドを通じて、ヘルシオと対話ができる

 「ヒラメの豊盃粕漬けは、出荷量が限られるので、頻繁に促す訳にはいかない」と阪本副本部長は笑いながら、「たまにヒラメの豊盃粕漬けのレシピが表示されることで、それによって佐井村を思い出すことにもつながるだろう」とする。

 今後、家電製品に無線LAN機能が搭載されるケースが増えてくるだろう。それによって、新たなサービスが追加されることになる。

 「ヘルシオ AX-XP1WF-R」は受注生産モデルだが、無線LANの搭載と、ココロボ〜ドとの組み合わせによって、スマホを使って今日の献立をヘルシオに相談してみたり、外出先からメニューをダウンロードして、帰宅してすぐにヘルシオで料理をするといった使い方が可能だ。レシピの食材リストから、足りない食材を選ぶだけで自動的に買い物リストも作成できる。

 「ヘルシオが、献立・買い物・調理までを手伝ってくれる“ともだち家電”になる」と位置づける。

 そして、今回のようなコラボレーションも無線LAN機能があったからこそ実現できたものだ。

 家電の進化は、地域との思わぬコラボレーションを生むことになる。


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