実際にVA方式とIPS方式では
暗所と斜め見で画質が違う!
VA方式とIPS方式、理屈としては異なるわけだが、実際の製品にその違いが出るのだろうか?
東芝が最新モデルでVA方式とIPS方式を採用しているので、実際にその映像の見え方を比べてみた。
VA方式のモデルは「50Z10X」、IPS方式のモデルは「43G20X」だ。液晶パネルこそ異なるが、どちらも広色域の直下型LEDバックライト(これは後で解説)を搭載し、今後登場するULTRA HD Blu-Ray規格で採用されたHDR技術(これは次回解説)にも対応できる最新鋭の実力を備えている。
まずは暗室で黒画面(電源オフではない)を表示した状態の写真を見てみよう。画面表示や電源ランプが点灯していることくらいしかわからないが、左がZ10Xで右がG20Xだ。
写真ではその差がわかりにくいのだが、右のG20Xの方がぼんやりと青白く画面が光っているのがわかる。実際に肉眼で見てみるとその差はもっと顕著で、これでVA方式とIPS方式のコントラスト比の差がよくわかる。
すなわち、G20Xの方が暗い部屋で映画を見た場合、黒がグレーに光ってしまいコントラスト感が低下する「黒浮き」という現象が目立ちやすいのだ。映画を高画質で楽しみたいという人には気になる部分だろう。
寝ころびながら見るならIPSが有利
続いては視野角の比較だ。基本的に視野角は水平方向の斜めから見たときの影響が重要だが、上下方向の視野角の影響もある。そのため、Z10XとG20Xの両方で画面の下から見たときと左横から見たときの映像を撮影してみた。
角度としては、テレビの正面に立った位置を0度として、真横に立った位置を90度とすると、だいたい45度の位置としている。
ここまで説明したとおり、右斜めから見た場合、斜め下から見た場合とも、G20Xの方が圧倒的に正面から見た場合の映像との差が少なく、視野角の影響が少ないとわかる。
正面からのコントラストの高さと、視野角の影響はトレードオフの関係にあるので、テレビの真正面のベストポジションでテレビを見られる環境ならばVA方式が有利だし、斜め方向どころか自由な場所でテレビを見たい場合(テレビはラックに置いているが、自分は床に寝転んだ状態で見る、逆にテレビは床置きし、自分は立った状態で見るというような場合も同様)はIPSが有利となる。
また、この視野角の問題があるせいで、量販店などでテレビを見比べたときにその実力を勘違いすることがあることも覚えておこう。あるテレビは正面に立って見ているが、見比べている別のテレビを斜めから見ているというような場合だ。
見比べている(斜めから見ている)テレビがVA方式だとしたら、斜めから見てきれいに見えるわけがない。店頭でテレビの画質を見比べるときは、それぞれのテレビの正面に移動して見る。これが鉄則だ。
(次ページに続く、「バックライトの色も画質に影響する」
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