デザイン刷新、使い勝手が大きく向上した操作パネル
――「Aterm MR04LN」では、操作パネルのインターフェースが大きく変わっていますが、その狙いとこだわりをお願いします。
田中氏 「Aterm MR04LN」は、“デュアルSIM”に対応したこともあり、ユーザーの操作量が増えないよう、全体的な配置や階層構造などを改善しています。
また、スマートフォンのように指先のスライド操作を使えるようになった点がポイントですね。前機種では、画面横に表示されるボタンを使って下にスクロールしていたのですが、スライド方式の操作を採用したことでより手軽になりました。横のボタンがなくなったので、そのぶん各種表示が大きく見やすくなっています。
それと時刻表示のところで丸い部分があるんですけれども、これは実はアナログ時計を意識しているんですよ。デジタルなんですけどアナログもちょっとという感じで、遊び心を加えています。
さらに、クレードルにセットするとアナログ時計が大きくなりまして、秒針も表示されるようにしています。これはクレードルをお買い求めいただいた方しか見られないんですけれども(笑)。
――モバイルルーターというと、設定変更など何をするにもパソコンが必要だったと思いますが、「Aterm MR04LN」の場合は製品単体で設定できる要素が大幅に増えている印象があります。
坂間氏 その点には力を入れていて、ウィザード機能を追加しています。従来は、モバイルルーターと呼ばれる製品をまったく初めて手にしたという初心者の方には、1番最初に何をすればいいのか、わかりにくかったと思うんですよね。初めての方向けのガイドなども同梱していますが、それでも難しいと感じる方はやはりいたと思います。
そこで「Aterm MR04LN」では、購入後に初めて電源入れた際に「Aterm MR04LN」の画面にウィザードを表示するようにしています。ウィザードのガイドに従いながら設定を進められるというわけです。
田中氏 最近はパソコンをお持ちでない方も増えてきており、この「Aterm MR04LN」だけでひととおりの接続設定ができるようにと工夫しています。
坂間氏 このほかにも、たとえば今までは、端末に登録されていないAPNがあった場合、パソコンやスマートフォンで設定する必要があったのですが、「Aterm MR04LN」は端末でAPNの設定も行なえるようになりました。この端末だけですべての接続設定が完結するというわけです。
――ユーザーからの要望で改善した部分はありますか?
坂間氏 これまでは使用したデータ量の概算を月次で通知していたんですけれど、「Aterm MR04LN」では日次のサービスにも対応できるようにしています。たとえば、1日何十MBまでといったサービスを提供しているMVNOがありますけど、そういった場合でも今日は何MBまで使ってますねと表示したり、通信量が一定値を超えると通信を停止するといった機能に対応しました。
――「Aterm MR04LN」を自分ならこう使いたい、というのはありますか?
田中氏 一番ベーシックなパターンかもしれませんが、私が使っているスマートフォンはLTEに対応していないため、LTE-Advancedでどれだけ速くなるのか試してみたいですね。
坂間氏 せっかく“SIMロックフリー”のモバイルルーターを作りましたので、これで何ができるかをより追求していこうと思っています。特に、“デュアルSIM”になって2枚のSIMカードを挿すことで、運用コストを下げる方法ですとか、さらに便利に使う方法を研究したいですね。
開発担当者が語るAterm製品の魅力とは?
――Atermシリーズというと通信が安定しているというイメージを持っている方が多いと思うのですが、開発側から見てその理由はなんだと思いますか?
田中氏 なかなか難しい質問ですね(笑)。実はNECプラットフォームズの製品は、設計開発の段階で、ハードウェアとソフトウェアの両面から「製品としてどうあるべきか」を議論しています。「現行製品はこうだから、次はこうしないとね」という、「あるべき論」と言いますか。目指すべき目標を明確にして、どうすればそれを実現できるのか妥協せずに作り上げています。それが通信の安定性というところに現われて、評価していただいているのかなと思います。
――他社にはマネできないぞ、という点はありますか?
田中氏 これもなかなか難しいんですけれども(笑)。たとえばですね、他社がNECプラットフォームズの製品をあれこれ検証した時に、先ほどのアンテナ特性とパターン設計の部分で「スゴイな」と思う製品になっていると思います。
――Atermシリーズは、ここがユーザーに支持されているという点がありましたらお願いします。
坂間氏 インターネットの黎明期から、安心して、簡単かつ快適にというモットーで我々はAtermシリーズを開発しています。固定回線であってもモバイルであっても、基本的にはそのコンセプトは変わりません。ルーター自体は主役ではなく、裏方としてユーザーの利便性を上げるためのものです。これはずっと以前から、たとえばISDNの64Kbpsというスピードの頃から変わらずに続けており、その姿勢をご支持いただいてるのではないでしょうか。