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月額700円の500MBプラン、速度を切り替えられるmineoスイッチ、そしてマルチキャリアMVNOなどのユニークなサービスを提供するMVNO「mineo(マイネオ)」で、孤高の存在感を発揮するケイ・オプティコム。サービス登場の背景やその戦略をケイ・オプティコム代表取締役社長 藤野隆雄氏とモバイル事業戦略グループ グループマネージャー 津田和佳氏に聞いた。
Webサイトから好きに切り替えられる、すぐに使えるmineo
大谷 現在展開しているMVNO「mineo(マイネオ)」サービス開発の背景を教えてください。
藤野 一番の問題点は「携帯電話の料金が高く、みなさんの大きな負担になっている」ということでした。そこを考えていたら、MNOのインフラを借りて、サービスを卸し売るMVNOというビジネスがあり、しかも総務省がMVNO事業を推進していると。
光ファイバー事業も遠からず伸びが鈍るのは明らかだったので、そこからビジネスを検討し始めました。そして次の柱を立てるつもりで、2014年6月にmineoを立ち上げました。
発表時は、国内初のau 4G LTE対応MVNOとしてスタートしました。MVNOは一般的ではありませんでしたし、お客様としては「手持ちの端末で本当に使えるのか?」という不安があるでしょう。そこでわれわれはスマホ端末とSIMをいっしょに提供することもやっています。とにかく格安SIMに対する不安を解消するのがサービスのコンセプトですね。
津田 サービス開始当初は、090で音声を使えるサービスがあまりありませんでしたが、mineoは最初から音声を付けることができます。しかも、他社と違うのは、MNPで乗り換えていただくと、Webサイトから好きな時に即時切り替えられるんです。手元にSIMが届いたら、すぐに使えます。
申し込み開始から一晩で1000台が売り切れた!
大谷 サービス開始当初の反応はどうでした?
藤野 ものすごい反応でした。事前受付期間中のスタートキャンペーンで、端末を大幅に割り引いているのもあって、1日1000台が売り切れてしまったんです。
津田 キャンペーン始まった日の夜に半分なくなって、次の日の朝には1000台超えて、もうどうしましょうという話になりました。私も申し込もうと思ったけど、その日はダメでした(笑)。
藤野 その後、同じようなビジネスをやる競合が増えて伸びがやや鈍化したので、約半年後にキャンペーンを張り、今は1ヵ月6000台ペースで売れています。まる1年で7万2000台までいきました。
津田 以前はデータのほうが多かったのですが、現状では音声付きのほうが少し多くなっています。2台持ちは面倒くさいという方も増えているし、メイン回線として十分に使えるなという認知も拡がってきたんだと思います。
大谷 どんな方が使っているんでしょうか?
藤野 やはり30~40代の男性が半分くらいです。アスキーさんの記事を読んでいらっしゃるようなMVNOや格安SIMなどについてよく知っておられる方です。
大谷 地域的にはどうですか?
藤野 端末は圧倒的に関西です。関西ではやはり弊社の知名度が高いので、多少高額でも買っていただける。でも、関東でもSIMはけっこう売れていますね。
大谷 お客様の反応を教えてください。
津田 アンケートをとったのですが、家族で1万円くらい、個人でも4000~5000円くらい安くなるので、やはり喜びの声が大きいです。
500MBプラン、mineoスイッチ投入の背景は「やりくり」?
大谷 MVNO事業はオープンである代わりに、サービスが差別化しにくいという弱点がありますよね。その中で、容量500MBのプランはかなりユニークです。
藤野 最初に端末を出した時と、“心”はいっしょなんです。不安を持っている初心者はやはりお試しから入るだろうということで、『これくらいならいいか』という500MBのプランを用意しました。その次に1GB、3GB、5GBというラインナップで、利用方法にあわせてセレクトできます。途中からの変更も可能です。
大谷 余ったパケットを友人などと使い回せるパケットシェアも導入されるとのことで、さらにユニークですね。
藤野 使い切れないパケットは翌月に持ち越せます。さらに家族や友人などにギフトとして贈ることもできます。
津田 最初、3GBで申し込んで、次の月は500MBに変更し、あまったパケットを使い切るといったパワーユーザーもいらしゃいますね。そういう使い方はむしろmineoが推奨しているところです。
大谷 パケットの「やりくり」ができるわけですね。しかも、mineoスイッチで速度自体が切り替えられる。
藤野 使いすぎた月があったら、速度を落として、容量を節約できる。ユーザーサイドに沿って作った機能です。
津田 200kbpsに落とせるので、うちの常務は今月60MBで終わりそうと言ってます(笑)。
大谷 でも、事業者にとってみたら、パケットって余らせたほうが得なわけじゃないですか。
藤野 「そんなんで儲けてもしゃあないやろ」という判断です。やっぱりサービス自体で勝負しようやと。だから、お客様には購入していただいた容量はすべて使い切っていただいて、もっと使いたければ、より上位のプランを選択していただけばいいわけです。
津田 やはり、サービスの原点には、「そんなに使わないのに、なんで7000~8000円も払わなければならないの?」というお客様の疑問があります。最近の他のMVNOサービスは、MNOと遜色のないサービスを志向しており、それはそれで重要なんですが、mineoのサービスの根幹はそこではない。使った分の適正な価格というコンセプトを忘れず続けているのが、ご好評いただいている秘訣だと思います。
大谷 誘導尋問的な言い方かもしれませんが、経済感覚の優れた「大阪人らしいサービス」なのかもしれないなと。
藤野 「もととったるでー」という意味では、そうですね(笑)。もったいない精神とも言えるし。
(次ページでは、「auもNTTドコモも! マルチキャリアMVNOの目指す世界とは?」)
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