照明器具からおむつセンサーまで
スマートフォンで管理
筆者は先日、電子製品の企業が集積する深センで開催された「2015深セン智能家居展」を参観した。さまざまなジャンルの製品がそこにはあった。
もっともよく見たのが、スマートフォンでオン/オフする壁スイッチや電源タップだ。スマートフォンで明るさや色を調整できるLEDライトも出てきた。スマートフォンと連携ではなく、無線LANを通じて調光や電源コントロールを、タッチパネルで操作する壁スイッチも登場していた。
また、ネットワークカメラ系の製品もよく見かけた。カメラ内蔵でドアホンを押すと、スマートフォンにドア前の映像を送る製品や、部屋の中の子供や老人の様子を見渡せる製品などだ。
部屋の中の様子を見渡せるネットワークカメラはよくある製品だが、オフライン時に録画したり、赤外線カメラを内蔵していたり、2Gとなって回線が遅くなっても画像がちゃんと送れるようにしたり、スピーカーとマイク内蔵でカメラを通して会話できるようにしたりと、ネットワークカメラは多機能化が進んでいる。
防犯系製品では、ドアや窓が不正にあけられたときや、煙を感じたときにスマートフォンに通報する製品がいくつか出ている。
カラオケに特化したセットトップボックスや、動画視聴に特化したホームサーバー、スマートフォンで見たレシピの設定を転送する電子レンジ、スマートフォンと提携した空気清浄機やPM2.5チェッカーなど、家族全体向けの製品も多くあった。
普段は家族の写真が流れ、家族と連絡したいときにそれを通じてビデオチャットができるビデオチャット機能を付加したデジタルフォトスタンドや、スマートフォンで事前に登録すると、必要な時間に薬の量を教えてくれるスマートな薬箱、おむつの濡れた部分や温度や湿度をスマートフォンに通知するおむつセンサーなど、老人や子供向けの製品も展示されていた。
ネットショップでは見かけるが
リアル店舗にはほとんど出回らない
非常に面白いものが出回っているが、これが普及するかどうかはまた別の問題だ。中国ではまずリアル店舗では売っていない。一番売ってそうなのは電脳街だが、ネットショッピングの普及で空きテナントが目立ち、ショップには変わったモノを置ける余力がない。
ネットでは探せば見つかるが、その商品をいかに気づかせるかという、ネットでのPRなどの仕掛けは滅多に見かけない。中小メーカーが作るからというのもあるが、家電の巨人であるハイアールも製品のリリース自体はするものの、蘇寧電器などの家電量販店ですら限りあるスペースでスマートホーム製品が販売されているのは見たことがない。
今は、中国メーカーが他国製品よりも安価なスマートホーム製品をリリースしたことから、中国だけでなく世界のハイテク方面にとりわけアンテナが立っている人が、これらを試しに導入するのだろう。
中国の影響あるメーカーが本腰をあげていないことから、中小企業が機能性能と価格でゆっくりとした競争をしているというのが現状だ。だが、これまでの中国のIT製品の普及を振り返れば、やがてスマートホーム製品も一定の普及を見ることだろう。

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