東京大学大学院工学系研究科と科学技術振興機構(JST)は6月25日、布地にプリントできて伸縮性も高い導電体を開発したと発表した。生体情報センサーなどウェアラブルデバイスに応用できる。
これはJSTの戦略的創造研究推進事業を受けて進めていたもの。新たに開発された導電機能を持つ新型インクはフッ素系界面活性剤と銀フレーク粒子を用いるもので、布地の表面に1回プリントするだけで導電回路として利用できる。
導電率は738S/cm(ジーメンス/センチメートル)で、元の長さの3倍にあたる215%伸張させた場合でも182S/cmを維持し、これは150%以上伸縮できる導電素材としては世界最高の値という。
研究グループでは、スポーツウェア用の素材に伸縮性導体をプリント、筋電センサーや回路を取り付けた生体情報センサーも試作、微弱な筋電信号を得ることも成功した。布地を織る際に導電繊維を織り込んだりすることなく、既存の布地を使って全身を覆うような生体情報センサーといったウェアラブルデバイスもより安価に製作できるという。