高い信頼性と拡張性を実現するシャーシ型スイッチは高嶺の花。エンタープライズ向けというのが定番であった。しかし、ネットギアのシャーシ型スイッチ「M6100」は10Gbpsのインターフェイスを数多く搭載でき、UPoEにも対応。しかも驚くべき価格で購入できる。
ネットギア自社開発のシャーシスイッチ登場
スモールビジネス市場に向け低廉でハイスペックなネットワーク機器を提供するネットギア。今回紹介するのは、高い信頼性と拡張性を実現するシャーシ型スイッチの「ProSafe M6100」である。
シャーシ型スイッチは、エンクロージャーと呼ばれるシャーシに専用のラインカードを挿入する形で増設できるモジュラー型スイッチ。複数のラインカードでインターフェイスを冗長化できるほか、電源なども複数搭載できるため、ボックス型スイッチに比べ、高い信頼性を実現するのが特徴だ。また、ユーザーの利用用途にあわせてインターフェイスを増設できるのも大きなメリットと言える。
以前、ネットギアはエクストリーム ネットワークスのBlack DiamondシリーズをOEM提供していたが、今回紹介するM6100はこれを置き換える自社開発の製品。シャーシ型スイッチのメリットをそのままに、スモールビジネス向けの低廉な価格を実現しているのが特徴だ。
4Uのエンクロージャーに1Gbpsと10Gbpsを大量に
まず外見から見ていこう。M6100は4Uのエンクロージャーに前面にラインカードを挿入するI/Oスロットを3つ備えている。ラインカードは、1000BASE-T×48の「XCM8948」、1000BASE-T×40・10GBASE-T×2・10GBASE-X SFP+×2の「XCM8944」、1Gbps SFP×40・10GBASE-T×2・10GBASE-X SFP+×2の「XCM8944F」、10GBASE-T×24/10GBASE-X SFP+×16の「XCM8924X」の4種類を用意。1Gbpsと10Gbps、あるいは銅線と光ファイバなどを自由に選択でき、最大144の1Gbpsポートまたは最大72の10Gbpsポートを利用可能となっている。
このうちXCM8948とXCM8944にドーターカードを取り付けることで、ラインカードにPoE+(IEEE802.3at)およびUPOEの機能を追加することが可能。PoE+であればポートごとに最大30W、UPOEであればポートごとに最大60Wを供給でき、無線LAN APやIP電話機などに対して、UTPケーブルを用いた電力供給が行なえる。
I/Oスロットの下には最大4つの電源が搭載できる電源用スロットが用意されている。さらに、これとは別に外付けの電源ユニットを増設でき、M6100単体で合計8つの電源まで増量できる。ここまで多くの電源を搭載できる理由は、PoE+やUPOEでも確実に電力を供給するためとのこと。LED照明やシンクライアントなどもPoE対応する状況を鑑み、電力供給スイッチとして安定した容量を確保しているわけだ。
IPv4/IPv6でのL3機能も充実!管理者にも優しい設計
機能面でも抜かりはない。M6100自体がL2のみではなく、L3スイッチの機能を持っているため、RIP/OSPF/BGPなどのルーティング、マルチキャスト、VRRPなども標準搭載。IPv6のルーティングやマルチキャストにもフル対応しており、将来的なIPv6利用に関しても安心して利用できる。
その他、IP電話や動画系トラフィックに対するQoS設定や、悪意のあるコード検出やDHCPスヌーピング、DDoS攻撃緩和などセキュリティ機能も充実。データセンターや仮想化で用いられる規格にも対応し、幅広い用途で用いることが可能だ。
運用管理は業界標準のCLIのほか、Webベースのツールを使うこともできる。ログや設定ファイルを保存できるUSBポートを搭載していたり、ファームウェアイメージや設定ファイルを二重で保存できたり、管理者にとっても優しい設計になっている。
もちろんライフタイム保証!驚きの低価格で実現
製品はエンクロージャーとラインカード(1Gbps×40・10Gbps×4のXCM8944)、電源、ファンユニット、スライディングレールなどのパッケージで提供するスターターキット「M6100-44G3-POE+ (XCM8903SK)」として提供される。もちろん、同社自慢の「ライフタイム保証」を用意されており、期間を定めずハードウェア故障に対する保証が提供される。
驚きなのは、110万円~という低廉な価格。今までシャーシ型スイッチなんて高嶺の花と考えていたユーザーにも十分手の届く価格だ。コアスイッチの10Gbps化やデータセンターの大容量化を考えているユーザーはぜひ検討したい。