サン・マイクロシステムズより高かった買収金額
コンカーは、米Concur Technologies, Inc.の日本法人だ。親会社の米Concurは、昨年、独SAPに買収され、米Concurの創業者であるスティーブ・シンCEOは、SAPのエグゼクティブボードメンバーに就任したものの、現在も、米Concurの会長兼CEOに就き、組織および製品、ブランドは独立した体制となっている。日本法人のコンカーも、SAPジャパンとは別の組織として、本社も異なる場所に置いている。
同社によると、独SAPによる買収金額は、9000億円規模となっており、IT業界におけるこれまでの買収事案では第9位の買収金額になるという。
「大型買収案件といわれたオラクルによるサン・マイクロシステムズの買収金額を12%も上回っていた」(三村社長)という買収案件だった。
SAPは、クラウドビジネスの遅れが指摘されていたが、Travel & Expense市場において存在感を発揮する米Concurを買収したことで、クラウド市場におけるポジションを固めはじめている。SAPにとっては、Concurの買収は、クラウド事業の拡大を打ち出す上でも必要な企業だったといえる。
Concur Travel & Expenseは、大手企業を中心に、全世界150ヵ国、3万社、2700万人のユーザーが利用しているクラウドサービスで、フォーチュン500の61%以上の企業が採用。処理ボリュームは、年間4兆円に達しているという。
日本でも、現在、400社以上が利用。ファーストリテイリング、三菱重工、双日などの大手企業が導入している。
今回の新サービスは、日本独自のものとしてスタート。同社にとっても、初の間接販売モデルになる。
SAPの傘下に入ったことで資金力が増強されたのは確か。そして、NTTデータグループとの連携によって、新たな広がりも期待できる。日本におけるコンカーのビジネスは新たなフェーズに入ったようだ。
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