東京工業大は3月30日、アンモニア合成の大幅な省エネ化を可能としたメカニズムを発見したと発表した。
窒素からのアンモニア合成は高温・高圧な窒素・水素混合気体を鉄触媒に通すハーバー・ボッシュ法が知られ、1906年に開発されて肥料や火薬の原料の大量生産を可能にし、世界を変えた化学産業の基本となっている。
東工大の研究グループでは、ルテニウム担持エレクトライド触媒を用いて窒素からアンモニアをより低温・低圧下で効率よく合成する手法を研究している。今回、窒素の同位体を用いることでその反応メカニズムを明確にした。窒素からアンモニアを合成する際には、高温・高圧状態とした窒素と水素の混合気体を触媒に晒すが、この際に触媒の上で単離した水素イオンが吸蔵され、また水素のイオン化によって放出される電子が窒素-窒素結合を切断、窒素が水素と結合することで高エネルギーを必要とすることなく反応が進む。
これまでのアンモニア合成は高温(400~600度) 、数百気圧という環境が必要だが、東工大が研究を進めているルテニウム担持エレクトライド触媒では300度程度、常圧での製造が可能となる。反応メカニズムが解明されたことにより、アンモニアの合成プロセスの省エネルギー化に向けた触媒開発の有力な手がかりとなると期待される。