最新トレンドを実践するECサイトを運営する企業に取材し、どのように成果をあげているのかをレポートする「最新トレンドの成功者から学べ! ECサイト研究レポート」。今回は、11月にリリースされた「東急ハンズアプリ」の狙いについて、東急ハンズの緒方恵氏と、共同開発をしたチームラボの竹村賢人氏に話を聞いた。
アプリですべてを網羅すること
東急ハンズは、国内でオムニチャネルにいち早く取り組んできた企業。2014年11月25日にリリースされた「東急ハンズアプリ」は、ポイントカードや商品の在庫検索、注文などの機能が盛り込まれている。
「とにかく“お店で”使ってもらうことが前提。お買い物をもっと楽しく便利にするのがコンセプトです」と語るのは、東急ハンズ オムニチャネル推進部の緒方恵氏。ポイントカードやスキャン機能、「ほしいものリスト」といったすぐに使う機能をホーム画面に集約し、商品検索機能をあえてメニューに入れて隠すなど、「お店で使う」というコンセプトに沿った使い勝手がよいアプリができたと自負している。
オムニチャネル化を推進する東急ハンズがスマートフォンアプリを開発した狙いは3つある。来店前に「プッシュ通知によって来店を促進すること」、店内で「ポイントを貯めるモチベーションを上げること」、来店後の「お客さまをオフラインからオンラインに戻すこと」だ。
来店促進やポイントは他の小売業のアプリでもよくあるが、ユニークなのが「お客さまをオフラインからオンラインに戻す」という考え方。これまで、店内で気に入った商品があったら、その場ですぐに買うか、いったん『ちょっと一晩考えよう』と持ち帰り、再来店して購入していた。
だが、顧客にとって再来店は手間がかかり、そのまま忘れてしまうこともある。東急ハンズアプリを使えば、「とりあえず店頭でバーコードをスキャンしておけば、後からアプリからでもネット購入ができる」(緒方氏)。アプリによって従来にない購入方法を提案している。