日立製作所は10月20日、石英ガラスへのブルーレイディスク並みの密度でデータを記録・再生することに成功したと発表した。3億年を超える寿命を持つデータ記録技術として期待されている。
各種情報をデジタルデータとして保存する際、文化遺産・公文書などに対しては半永久的なデータ保存が求められ、湿度や温度などによって劣化することなく、いつでも読み出せるストレージ技術が必要となる。
日立ではフェムト秒パルスレーザーを用いて石英ガラスの内部に屈折率の異なる微小ドットを形成してデジタルデータを記録、光断層撮影法で読み出す手法を2009年に考案、研究開発を進めてきた。石英ガラスは温度的にも安定し、1000度で2時間加熱しても記録データが劣化せず、3億年を超えるデータ保存が可能という。
今回、京都大学と共同で石英ガラスの内部に100層を超える層状に記録・再生する実験を行って成功した。データ記録は層間距離60μmで、石英ガラス両面から50層ずつ計100層の記録を行い、記録密度はブルーレイディスクと同程度の1.5GB/平方インチ。データ記録および読み取りには収差補正レンズを採用、さらに他層に記録されたドットの映り込みに起因するノイズを除去するアルゴリズムを採用した。
同社では、さらなる多層による記録密度向上の研究とともに、実用化をめざした実証実験を進めるという。