中国のお金持ちにはiPhoneが人気
いかに低価格モデルをリリースするか
次に、スマートフォン市場情勢だ。中国もスマートフォンブームと無縁ではない。ハイエンドでは「iPhone」の人気が沸騰しており、1月の「iPhone 4S」発売では同機を求めるユーザーが殺到して大騒動となったことが報じられた。
iPhone好調の背景には、中国で急速に拡大している富裕層が支えるApple人気がある。一方、普及層ではAndroidが席巻しつつある。ここではSamsungやHTCなどのAndroidベンダーだけでなく、地元ベンダーもさまざまな端末を開発している。無償で手に入るAndroidと中国ベンダーの相性は良いようで、世界展開しているZTE、Huawei Technologies、そして中国外ではあまり知られていないCoolpadなどの中国ベンダーもある。
中国のスマートフォン市場規模については調査会社により数値が異なるが、Strategy Analyticsでは2011年第3四半期にアメリカを超えて最大の市場になったと報告、IDCは今年逆転すると予想している。
先進国の市場と比べるとスマートフォンがまだまだ普及段階の中国市場は、Microsoft/Windows Phoneにとっては好機ともみえるが、端末バリエーションと価格、アプリなどの課題が挙げられる。まずは価格。今回登場した2機種は高めで、HTC Eternintyは4399人民元(約5万8000円)、Nokia 800Cは3599人民元(約4万8000円)。
安価なAndroid端末の勢いを抑制するのであれば、1000人民元(約1万3000円)が1つの目安となりそうだ。アプリは中国に限った課題ではない。Windows Phoneアプリは現在7万程度。Googleは先に、自社のアプリストアで公開されているアプリの数が45万に達したことを報告している。
端末の価格については、MicrosoftがWindows Phoneのハードウェア要件を下げたことで、低価格帯機種の実現が期待できそうだ。アプリについては、MicrosoftとNokiaは中国でアプリ開発支援プログラム「Be Top」を共同展開することを明らかにしている。
Flurry Analyticsは、iOSとAndroidの新規アクティベーションについて、中国のシェアが2012年2月に米国を越えて最多(23%)となり、アプリセッションについては2011年第1四半期、前年同期の1126%に成長したと報告している。Windows Phoneの受け入れを含め、中国の動向が今後のスマートフォン市場全体に影響力を強めることは間違いなさそうだ。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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