2011年10月にiOS 5と同時に「iCloud」が発表された。さまざまな機能を備えた無料サービスなので、話題にはなったのだが、活用している人をあまり見かけない。日本では一部機能が使えないものの、なかなか便利な機能が用意されている。今回は、写真やメモを複数端末でワイヤレス同期する技を紹介しよう。
5GBのストレージを無料で利用できる
iCloudを活用する
「iCloud」は、5GBの無料ストレージを利用できるAppleのクラウドサービスだ。iPhoneやiPadなどのiOSデバイスやMac、Windows上のアプリやブラウザー上から操作できる。
以前の「MobileMe」サービスを継承し、スケジュールやカレンダー、ブックマーク、メモなどを複数端末で同期できる。そのほか、写真を同期する「フォトストリーム」やiOS端末のバックアップ機能などを備える。同期やバックアップは3G/Wi-Fiで行なわれるので、PCにUSBケーブルでつながなくて済むのがうれしいところ。自分や友人のiPhone・iPadの位置を探す機能も備えている。
このように機能は豊富なのだが、設定画面や実行画面がばらばらで全体を把握するのに手間がかかる。今回は、基本の使い方から、特にお勧めの機能の活用法を紹介する。「iCloud Control Panel」はAppleのサイトからダウンロードできる。
ちなみに、iCloudの目玉機能である「音楽」機能は日本では無効になっている。iTunesで購入した楽曲が自動的にすべての端末にダウンロードされる機能で、本来あって当然の機能だと思う。しかし、日本の著作権団体の反対により、利用できないのが残念だ。
iPhone・iPad・一眼レフで撮影した写真が即同期される
ぜひ試してほしいのが、「フォトストリーム」だ。iPhoneやiPadで撮影した写真などが、即座にほかの端末に同期され鑑賞できるようになる。「フォトストリーム」を有効にすると、「写真」アプリに新しいアルバムが作成される。この中に、最大1000枚までの写真が同期されるのだ。フォトレタッチアプリで編集してカメラロールに保存した写真や、ネットからダウンロードした画像、電源ボタンとホームボタンを同時押ししてキャプチャーしたスクリーンショットなども即共有される。
Windows PCでも、「iCloud Control Panel」で「フォトストリーム」を有効にすれば、写真を同期することができる。写真が保存されるのは初期設定で「マイピクチャ」の中の「\Photo Stream\My Photo Stream」フォルダーとなる。同じ場所にある「\Photo Stream\Uploads」フォルダーに写真を保存すると、PCから画像をアップロードすることもできる。画像のサイズが大きい場合は、アップロード時に解像度を落として小さくしてくれるので端末の容量を無駄に消費せずに済む。一眼レフで撮影した写真を手軽にiOSデバイスで鑑賞したいときに便利だ。
ITライター的には、画面キャプチャーを取るとすぐにPCに転送されるのがすこぶる便利。この連載の画像もそのようにして取り込んでいる。ホームパーティーなどでは、iPhoneで撮影した写真をその場でiPadに表示すると盛り上がるだろう。さらに、フォトストリームは、Apple TVでも閲覧することができる。リビングの大画面テレビでiPhoneなどで撮影した写真をみんなで楽しめるのだ。
ちなみに、フォトストリームの写真は1枚ずつ削除する機能はない。失敗した写真や、人に見せたくない写真が入っていても個別に削除できないのは残念。どうしても消したい場合は、iCloudのウェブサイトにアクセスして、アカウントの設定から「詳細設定」→「フォトストリームをリセット」をクリックしてすべて削除できる。フォトストリームに入れたくない写真を撮る直前に、設定でオフにし、撮影後に戻すという手もある。フォトストリームがオフの時に撮影された写真は、オンにした後でもアップロードされることはない。
3点ほど注意しておきたいことがある。まず、「フォトストリーム」の同期が可能なのは、無線LAN接続している時のみ。外出先で同期するなら、Wi-Fiスポットかモバイルルーターを利用しよう。また、「フォトストリーム」に保存されるのは30日間までとなっている。期限を過ぎると「フォトストリーム」からは削除される。しかし、撮影したデバイスもしくはPCにはもちろん元データが残っているので問題なし。期限を区切ることにより、端末のストレージ容量を圧迫せずに済むのはかえってありがたいところだ。ちなみに、「フォトストリーム」に保存する写真の容量は、iCloudの容量にカウントされないので、安心して使い倒そう。
最後に、クリティカルなトラブルを避ける注意点。iPhoneはもちろん、iPadもパーソナルユースを基本とした製品となっている。例えば、家族でiPadを利用していて、自分のアカウントと紐付いている場合は要注意。夜、女性と撮影したツーショット写真が、家庭のリビングに大写しされたら致命的だ。家族で利用する端末が存在する場合は、Apple IDを分けることをお勧めする。

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