20日、ソーシャルネットワークサービス「LinkedIn」(リンクトイン)日本版が開始した。
聞いたことのない人がほとんどだと思うが、リンクトインはFacebookよりも歴史が古い。サービス開始は2003年、今では世界200ヵ国で1億2000万人のユーザーを有する、巨大なビジネス系ソーシャルネットワークサービスだ。
基本的な仕様はFacebookやGoogle+と似ているが、リンクトインはすべての機能が仕事向けのカッチリした内容になっている。プロフィールページはまるで名刺のようで、ペットが自分のしっぽを追いまわす写真を登録しているユーザーは少ない。
プロフィールには履歴書のように学歴や職務経歴が書けるし、グループ(コミュニティ)機能では経済ニュースや新しいテクノロジーについて話したりできる。誰かにアポイントを入れたいと思ったときはリンクトイン上の知り合いに伝手があるかもわかる。ビジネス上のアイデアをつぶやけば、どこかの会社がアイデアを採用することもあるだろう。
実際、リンクトインを通じてiPhone用のバッテリーが開発されたということもあるという。オランダのユーザーがリンクトイン上で中国に住んでいるパートナーを見つけ、2人で共同開発をすることになったのだそうだ。
よくソーシャルネットワークはパーティに似ているといわれる。パーティで重要なのは機能より“TPO”、場の空気だ。どんな人がどんな服でそこに来て、どんな話をしているのか。それをリラックスモードからビジネスモードに変えたのがリンクトインだ。仕事の同僚はリンクトイン、ネットの友達はTwitter、リアルの友達はmixiと、場面に応じてサービスを切り換えるようになるかもしれない(疲れそうだが)。
日本で先行するライバルはFacebookだ。Facebookは、人によって見せたい情報を区分けし、1つのアカウントでプライベート/ビジネスを兼ねるのが特徴。リンクトインは履歴書のフォーマットを日本向けに最適化するなど、インターフェースを補正することで対抗するという。
“仕事と趣味を1つのアカウントに”と考えるFacebookと、仕事と趣味の間にハッキリと“垣根”を設けるリンクトイン。はたして日本人はどちらを選ぶだろうか。