ついにアメリカ最大のキャリアからも
iPhone 4が発売される
1月11日、Verizon Wirelessがついに「iPhone 4」を提供することを発表した。アメリカではAT&Tによる独占販売が3年半続いたが、2月10日に終止符を打つことになる。アメリカでiPhoneが複数のキャリアから提供される“マルチキャリア”となることで、スマートフォンのシェアにどのようなインパクトがあるのだろうか?
iPhoneが複数のキャリアから販売される――これはすでにヨーロッパ各国では実現している。アメリカと同様に最初は1社独占で、その後マルチキャリアになったフランスの例を見てみよう。
フランスでiPhoneが発売されたのは2007年11月のことだ。Appleはローンチ時にフランス最大手のOrangeと手を組んで独占発売した。だがその後、ナンバー3のBouygues Telecomが当局に苦情を出し、その結果、2009年4月末からは同国トップ3の全オペレーターからiPhoneがリリースされている。
その発売後1ヵ月間で、iPhoneの販売台数は一気に約200%増加した(GfK調べ)。同時期に行なわれたStatCounterの調査では、フランスにおけるスマートフォン市場において、iPhoneはOS別シェアで74%超のシェアを記録した。つまり、複数のオペレーターから提供されることでiPhoneのパイが拡大した成功例といえる。
フランスではシェア拡大に大きな役割を果たした
マルチキャリアによるiPhoneの提供
だが、これがそのままアメリカに当てはまるかとなると、少々疑問だ。
フランスでiPhoneがマルチキャリアで販売されるようになったのは2009年。ほんの2年前だが、この2年間の間にスマートフォン市場は大きく変わっている。台風の目はもちろん「Android」だ。
2009年時点では、メーカーにとっても消費者にとってもどちらかというと“リスキー”な選択肢だったAndroidだが、OS自体の改良が進むと同時に、端末のラインナップは増え、ユーザーへの知名度も高まった。
HTCを始め、Sony Ericsson、世界的なブランド力を持つSamsungも味方についた。アメリカでは、積極的にAndroidをプッシュしているMotorolaとSamsungの2社だけでもかなり幅広いユーザーにアピールできている状況だ。
もう1つは、Verizonが発表したiPhoneはCDMA版(期待されていた3.9GのLTEではなく)という点だ。CDMAのみの対応でもアメリカ国内では不都合なく利用できるだろうが、世界的には利用できる地域は限られている(たとえばヨーロッパでは利用できない)。これも、一部のユーザーには考慮すべきポイントとなりそうだ。
さらにAT&T向けiPhoneに対する、ユーザーの最大の不満はサービスの質(電波状況)のようだが、この点については堪忍袋の尾が切れて、すでにVerizon(つまりAndroid端末)に乗り換えてしまっている人も少なからずいそうだ。VerizonのiPhone提供は少々遅すぎたと見ることもできる。
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