マイクロソフトのWebデザインスイート「Expression Studio」に早くも新バージョンが登場した。新版の「Expression Studio 4」は、企業向けのボリュームライセンス版が8月2日、パッケージ版が9月3日に発売される(MSDN会員向けには7月21日から提供開始)。
Expression Studio 4の発売は、前バージョンの「3」発売から約10か月しか経っていない。競合の「Adobe Creative Suite」が18か月前後でバージョンアップするのに比べるとかなり早いペースだ。 そのためか今回は派手な目玉機能はなく、細かな改善がメイン。使い勝手を地道に向上させた印象だ(その代わり、Expression Studio 3のユーザーは無償でExpression Studio 4へバージョンアップできる)。主な新機能を紹介する。
Expression Blend4:
パスレイアウトで表現力アップ、SketchFlowがさらに便利に
Silverlight/WPFオーサリングツールの「Expression Blend 4」は、Silverlight 4/WPF 4アプリケーションの制作に対応した。従来はExpressionのバージョンによって開発できるSilverlight/WPFのバージョンが1つ(最新版のみ)に限定されていたが、今回から1つ前のバージョン(Silverlight 3/WPF 3.5)も選択できるようになっている。
制作機能では、パスにそってオブジェクトを配置できる「パスレイアウト」(Flashのモーションパスのような機能)が搭載された。ほかにも、Pixel-Shaderエフェクトの充実、利用頻度の高いオブジェクトを収録した図形パネルの追加、Silverlight 4やWPF 4でサポートされたマルチタッチ関連のビヘイビアの追加など、制作者が手間をかけずにより複雑な表現を作れるように機能強化されている。
Blendに含まれるプロトタイピングツール「Sketch Flow」もパワーアップした。TFS(Team Foundation Server)との連携に対応し、Sketch Flowによるレビューで得たチームやクライアントからのフィードバック内容をTFSの作業項目として管理できる。また、ブラウザーのウィンドウ枠、ショッピングカートのボタンなどのワイヤーフレーム部品が用意され、Webアプリケーションのワイヤーフレームをよりすばやく作成できるようになった。
Expression Web 4:
機能拡張に対応、SuperPreviewが“クラウド型”に
HTML/CSSオーサリングツールの「Expression Web 4」は、アドインによる機能拡張ができるようになった。考え方としてはDreamweaverのエクステンション(拡張機能)と同じで、ユーザーがHTML/JavaScriptなどを使ってExpression Webの機能を独自に拡張し、アドインとして自由に配布したり追加したりできる(米マイクロソフトのギャラリーサイトにはいくつかのアドインが公開されている)。
Expression Web 3で追加され好評だったブラウザーテストツール「SuperPreview」(関連記事)も便利になった。従来はIE6~8、Firefox、Safariといった、Windows用のブラウザーのテストしかできなかったが、新たにMac版のSafariにも対応した。「SuperPreviewオンライン」というWebサービスを利用してサーバー側でHTMLをレンダリングし、結果をダウンロードして表示する仕組みで、今後は同様の仕組みで新しいブラウザーにも対応していく計画のようだ。
Expression Encoder 4/Expression Design 4
ビデオエンコーディングツールの「Expression Encoder 4 Pro」は、リアルタイムでビデオをエンコーディングできる「Live SmoothStreaming」に対応したことでライブ中継ができるようになった(配信用のサーバーは別途必要)。DRMに対応し、ライブストリーミングと同時にアーカイブも作成できる。デザインツールの「Expression Design 3」は、Silverlight 4/WPF 4へのエクスポート、WMF/EMFファイルのインポートに対応した。