Mobile World Congress 2010(MWC 2010)では、端末アーキテクチャとしてのAndroidが目立っている。開催前日にはソニーがXperiaシリーズとして2機種を投入。AcerもAndroidのラインアップを発表している。2日目の基調講演では、GoogleのシュミットCEOが登場。Nexus Oneを使い、各種のデモを行なった。
すでにASCII.jpでも既報だが(関連記事)、まずソニー・エリクソンはAndroid搭載携帯である「Xperia X10 mini」と同「mini pro」を発表した。miniは既発表のX10と同じくAndroid OS 1.6を採用。最大の特徴はボディサイズの小ささで、83×50×16mmというサイズで88グラムを実現した。CPUにはクアルコムのMSM7227(ARM11ベースでクロックは600MHz)を採用し、メインメモリは128MB、2GBのマイクロSDカードが付属し、メモリカードは最大16GBまでをサポートしている。
一方mini proは、miniより少し大きめの筐体(90×52×17mm)を採用しているが、スライド式のキーボードを備える。プロセッサやメインメモリなどはminiと同じ。またminiは、6色のカラーバリエーションがあり、mini proも黒、赤の2色が用意される。
X10でAndroid端末の様子を見た感があるソニー・エリクソンだが、同社らしい小型化技術を使い、本格的にラインアップをそろえてきた。ソニー・エリクソンは、海外ではSymbianを採用したスマートフォンがメインで、そしてハイエンドのXperiaシリーズでは当初Windows Mobileを採用していた。しかしAndroidを搭載するX10が好評で、日本での採用も決まったことから、本格的にAndroid路線に進んだものと思われる。なお、ともに今年の第2四半期(4~6月)に出荷の予定で、日本での展開については未発表である。
現地のソニー・エリクソンの担当者は「X10でAndroid端末でもいいスタートを切ったが、高性能ゆえに液晶が大きく気軽にポケットに入れるというわけにはいかない。今回のminiとmini proでは、より広い層を狙うため、端末を小型にしズボンのポケットなどにも入れられるようにして持ち運びやすくした」と語っていた。
また2009年のMWCでスマートフォンへの参入を行なったAcerだが、2009年発表の機種がWindows Mobile一色だったのに対して、今年はAndroid搭載機種を投入、Windows Moible機と同じく、上から下までのラインアップをそろえ、主力をAndroidに切り替えている。同社はシンプルながら安価な端末から、最新のAndroid 2.1を採用したSnapdragon搭載端末まで幅広い。
そのほか技術展示などでも、Androidを用いたものが各所で見られた。NVIDIAのブースでは同社のモバイル向けプロセッサーの「Tegra」のデモにAndroidを利用、その上でFlashやAdobe AIRを動作させていた。オープンソースであるため、こうした展示に利用しやすいというのも影響しているようだ。
基調講演ではGoogleのエリック・シュミットCEOも登場。1月に発表したNexus Oneを使い、ドイツ語の音声認識などのデモを行なった。その中にはGoogle Goggleのようにすでに配布が始まっているものもあるが(ケータイで写真を撮ることで撮影物の情報を検索してくれるサービス)、AdobeのFlash、モバイル版Google Earthなどがあった。また文字認識と翻訳を組み合わせ、ドイツ語のメニューをカメラで撮影、これを文字認識させたあと英語に翻訳してみせた。
Googleは、いわゆるクラウドコンピューティングをベースに各種のサービスを行なっているが、スマートフォンとクラウドコンピューティングの相性の良さを訴えた。スマートフォンは常に通信が可能なため、高度な処理はクラウド側にまかせることで、これまでにないサービスを可能にする。実際スマートフォン上での音声認識や今回デモを行なった文字認識や翻訳は、クラウド側で処理をしている。
昨年のMWCではHTC製の端末しかなかったために、あまり存在感のなかったAndroidだが、短期間に端末プラットフォームとして広く認知され、採用メーカーも増えつつある。今回のMWCでは改めてその存在感を強く示したといえるだろう。