※この記事は「特別寄稿:先進事例に学ぶWebPRの手法」の第2回です。過去の記事も合わせてご覧ください。
「カンヌ国際広告賞」のPR部門で金賞を受賞した、相模ゴム工業の「LOVE DISTANCE」キャンペーン。前回は、キャンペーンの概要とPR活動において、
- ニュース性が不足していた
- ローンチ後も注目を維持しなくてはならない
- 広告主の「社名」を露出してはいけない
という3つの課題が発生したことまでを説明した。今回は、これらの課題を解決した戦略・戦術について紹介しよう。
1.ニュース性が不足していた
LOVE DISTANCEキャンペーンでは「遠距離恋愛中のカップルがマラソンをする」というストーリーが主軸になる。しかし「遠距離恋愛」「マラソン」はいずれもありふれたキーワード。ニュース性が不足しているため、単にキャンペーンの概要を記したプレスリリースを一律に配信しても、メディアに取り上げてもらえる可能性は低い。
そこで、ビルコムでは各メディアの編集傾向に沿った切り口で複数のプレスリリースを作成・配信し、課題の解決を図った。たとえば、IT系のメディアに対しては「遠距離恋愛を疑似体験できるウェブサイト、『LOVE DISTANCE』公開!」として、「疑似体験Webサイト」というLOVE DISTANCEのWebサイトとしての魅力を全面的に訴求した。一方、情報・エンタメ系メディアには、「遠距離恋愛マラソン企画 ~BGMは坂本龍一が担当~」として、「坂本龍一がBGMを担当している」というエンタメ系メディアの編集者が興味を惹きそうな切り口でプレスリリースを提供したのだ。
下の表は、実際のPR活動時にビルコムが作成した「メディアアプローチシート」である。PRのタイミングを3つに分け、対象とするメディアごとに発信するメッセージを設定している。
メディアとその先にいる読者に視点に立ち、1つのニュースを複数の切り口に分解して情報を発信することで、「ニュース性の不足」という課題を解決したわけだ。
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今年6月に刊行された書籍「WebPRのしかけ方」(インプレジャパン刊)では、本記事で取り上げている「LOVE DISTANCE」キャンペーンなどを例に、WebPRの具体的な手法を手順を追って詳細に紹介しています。広告に依存しないWebを使ったプロモーションを仕掛けたい企業のマーケティング担当者の方にぜひ読んでほしい1冊です。