シャープ(株)は14日、出力210mWの次世代DVD向け青紫色半導体レーザー『GH04P21A2G』を5月に量産開始すると発表した。サンプル出荷を4月2日に開始する。サンプル価格は5万円。
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『GH04P21A2G』 |
『GH04P21A2G』は、独自の結晶成長技術や独自の端面構造の採用により、直流駆動による出力を最大105mW、パルス駆動による出力を最大210mWとしたのが特徴。波長は406nm。Blu-ray DiscやHD DVDなどの次世代DVDの2層式ディスクに最大6倍速の書き込み/読み出しが行なえる。寿命は1万時間(動作温度75度、パルス光出力210mWの場合)。動作電流は連続光出力時110mA、パルス光出力時160mA。ビーム広がり角は水平9度、垂直19度。CANパッケージの直径は5.6mm。
同社ではフルハイビジョン対応テレビの普及によるハイビジョン映像の記録へのニーズの高まりなどから次世代DVDへの記録が行なえるレコーダーやパソコン用光ドライブの市場が今年本格化するとしており、そのキーデバイスとなる青紫色半導体レーザーの需要も拡大が見込まれることから、量産の開始を決定したとしている。
同日、東京・千代田区のパレスビルで開催された発表会では、シャープ 電子部品事業本部 副本部長の大塚尚孝(おおつか なおたか)氏が『GH04P21A2G』の説明を行なった。
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シャープ 電子部品事業本部 副本部長の大塚尚孝氏 |
大塚氏は、『GH04P21A2G』について、「シャープ独自の要素技術3つにより高出力・長寿命を達成した。1つめはレーザー光を発生させたり上下方向に光が漏れないように閉じ込めたりする結晶の成長技術。これは窒化ガリウム(GaN)基板上に良質な結晶を成長させるもので、シャープが独自特許を持っている。2つめは左右方向に光が漏れないように光を閉じ込めるリッジ(畝)の形成技術。3つめは前後方向に光が漏れないように閉じ込めたりレーザー光の増幅を行なったりする端面の形成技術だ。リッジ形成技術と端面の形成技術にも、シャープが赤外レーザーや赤色レーザーで培ったさまざまな技術が活用されている」とした。
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『GH04P21A2G』の3つの要素技術 |
大塚氏は青紫色半導体レーザーのロードマップと次世代DVDの市場予測についても触れ、「4倍速~6倍速の2層ディスクの次世代DVDは現在規格化が行なわれており、今年末に登場する。そして来年以降には、2層の8倍速/10倍速/12倍速が規格化されていくだろう。今回発表したのは年末に登場する4倍速~6倍速向けの半導体レーザーだが、来年度以降に登場するであろう8倍速~12倍速の製品向けとなるパルス光出力350mWの半導体レーザーの開発も行なっている」と語った。
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青紫色半導体レーザーのロードマップと次世代DVDの市場予測 |
また大塚氏は半導体レーザーの市場規模に関する予測も紹介し、「DVD再生用の低出力赤色レーザーは1996年から生産が開始され、2001年に世界での年間生産量が1億個になり、DVD記録・再生用の高出力赤色レーザーは2001年から生産が開始され、2006年に年間生産量が1億個になった。よって次世代ディスクも、2005年に生産が開始された低出力青紫色レーザーは2009年から2010年にかけて、高出力青紫色レーザーも2012年ごろに市場が1億個規模になるだろう」と述べた。
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半導体レーザーの市場規模 |
会場では『GH04P21A2G』に使われているCANパッケージの展示が行なわれたほか、青紫色半導体レーザーと赤色半導体レーザーを比較するデモも行なわれた。
