インタービデオジャパン(株)と(株)フェイスは13日、米インタービデオ(InterVideo)社とフェイスが、モバイルコンテンツ分野を中核とした事業提携を行なうことを発表し、東京・新宿で記者発表会を開催した。
北米、欧州、中国、台湾、ブラジルに拠点を持つフェイス |
フェイスは携帯電話の“着信メロディ”を開発した会社で、ソフトウェア音源技術の開発などを手がけている。最近では着信メロディー配信サービスを行なうギガネットワークス(株)や、電子マネーサービスを行なう(株)ウェブマネーなどを傘下に収め、携帯電話向け音楽配信と電子決済事業にも参入を果たしている。また米国では音楽コンテンツサービス“Maderati”やMVNO事業(仮想移動体サービス事業)である“voce”を提供し、台湾や欧州では技術ライセンス事業を手がけるなど、グローバルに活動する。
今回の提携により、インタービデオは携帯電話向け着信メロディーのフォーマット“CompactMIDI”を自社の製品に取り入れ、携帯電話メーカーやキャリアー、コンテンツプロバイダーなどといったフェイスの顧客にも訴求していきたい考え。一方のフェイスはインタービデオの得意とする映像コーデックを他社にライセンスするとともに、パソコンと携帯電話を連携させるようなソフトウェア事業にも参入していくという。
具体的な事業についてはまだ未定ではあるが、インタービデオが
- 『マルチメディアコーデックパック』(仮称):AAC、AMR、H.264、MPEG-4といった映像コーデックに加え、MP3、MIDIをサポート
- 『DTVソリューションSDKパック』(仮称):ワンセグ、DVB-H、TDMBといったデジタル放送を同一のハードウェアプラットフォームでサポートする開発キット
- 『PC、CEコンパニオンパック』(仮称):携帯電話とパソコン、PDAなどを連携させるソフトウェア製品
の製品化案を挙げているほか、フェイスとのサービス業での協業も検討しているという。
家電分野に進出したいインタービデオの思惑
インタービデオジャパンの売り上げ予想図 |
インタービデオは2003年から2005年までの3年間で右肩上がりの成長を遂げている。2005年の全世界での売り上げ高は1億900万ドル(約125億円)を達成したが、その33%が日本市場での利益だという。さらにその割合は増加傾向にあり、今後40%を超える見込みであることも明らかにした。
インタービデオジャパン 代表取締役社長の田中俊輔氏 |
インタービデオの全体の売り上げの85%がパソコン関連製品の売り上げだという。しかし発表会で壇上に立ったインタービデオジャパン 代表取締役社長の田中俊輔氏は「インタービデオのマルチメディアコーデック、アプリケーションは、ここ2年でEmbedded(組み込み)ソリューションに変換するべく、コーデックのリコンパイルなどを進めている」と発言。さらに「PCソフトウェアベンダーでやってきたわけですけれども、一日も早く、携帯分野、CE分野にソリューションを提供していきたい」と、パソコン分野から携帯電話機などの情報家電分野に軸足を移していく考えを明らかにした。その上で「お互いに競合するところがほとんどなく、補完する関係が強いということで、非常に今回の業務提携はメリットがあると考えている」と今回の事業提携が非常に有意義であることをアピールした。
フェイス 取締役の踊 契三氏 |
次に壇上に上がったフェイスの取締役である踊 契三(おどり けいぞう)氏は、「そもそも両社で目指したいことは、現状存在していないサービスの企画を一緒にして、それに必要な技術やソフトウェアを開発し、デバイスに入れていきたい」と語り、技術先行型ではなくサービスの企画から技術開発を行なうビジネスパターンが最終目標であることを語った。
今回の発表に直接関係はないが、会場に展示されていたワンセグ搭載カーナビのデモ機材。ソフトウェア開発をインタービデオが行なっている |