三菱電機(株)は12日、カスタマイズが可能な機器組み込み用の暗号アルゴリズム“MISTY(ミスティー)”ファミリーとして、実装サイズが約半分の小型版“BRUME(ブリュム)”と、処理速度が10倍の高速版“BROUILLARD(ブルイヤール)”を開発したと発表した。
“BRUME”は、機器認証(相手認証)などを処理するために、ソフトウェアのサイズ(容量)を1KB以下、ハードウェアのサイズを3Kゲート以下に小型化するとともに、消費電力を低減したのが特徴。これにより、自動車のキーのような小型装置の機器認証などにも適用できるという。
“BROUILLARD”は、映像データの配信などを処理するために、MISTYの約10倍の高速処理を行なえるようにしたのが特徴。Pentium 4-3.0GHzを利用した場合に、約1秒で1GBのデータ処理が可能で、監視カメラの映像データの暗号化などのリアルタイムで高速処理が必要な装置に適用できるという。
“BRUME”と“BROUILLARD”は、ともに暗号鍵の長さやデータ処理単位の長さなどの一部のコンポーネントをユーザー自身でカスタマイズできるようになっており、独自に開発することで生産性が向上するだけでなく、安全性や暗号処理上の企業機密を保ったまま独自の暗号処理を組み込めるとしている。
同社では、“BRUME”を自動車用のスマートーキーシステムに、“BROUILLARD”をデジタル監視カメラに搭載する計画という。また、(株)ルネサス テクノロジが認証用マイコンの暗号ライブラリーとしてラインアップする予定としている。ちなみにフランス語で、BRUMEは「霧」、BROUILLARDは「霞」を意味する。