意欲あふれるiPodの最新作
iPod photoは、高速なブラウズ機能で写真をストレスなく閲覧できるほか、カラー化によって視認性が大きく高まっている。使い勝手はもちろん、気になる液晶やブラウズ機能、ハードディスクの性能までを徹底検証しよう。
初代iPodの発表からちょうど3年目の'04年10月、待望のカラー液晶を搭載し、手のひらの上で写真を高速にブラウズできるiPod photoが発表された。
これまでのiPodとiPod miniが、音楽を聴くという行為をより広いユーザー層にアピールしたのに対し、iPod photoは音楽で始まったiPodのブランド価値を、さらに新しい分野へと押し広げようとしている。
その分野とは「デジタル写真」。多くのメーカーが動画再生に力を入れる中、アップルは、まだ携帯機器で動画を楽しむ時代ではないと判断。あえて静止画再生に絞った製品の作り込みをした。そうして出来上がったのがiPod photoだ。
これまでも大型液晶搭載のデジカメや携帯電話など、写真を表示して楽しむ機器はいくつかあった。しかし、媒体がフラッシュメモリーであるため、数十枚の写真で容量がいっぱいになる。表示写真を前後に切り替えながら、目的の写真を見つけ出すのも面倒だ。
iPod miniや第4世代のiPodと同様に、iPod photoはマック/ウィンドウズの両OSに対応する。マックでもUSB 2.0ケーブル経由でバッテリー充電や曲の転送が可能だ |
この点iPod photoは、従来の機器とはまったく違った方向性でデジタル写真の楽しみ方を提唱する。アップルが力を入れたのが、ハードディスクの大容量を生かして大量の写真を持ち歩けるようにすること。iPodシリーズ最大である60ギガバイトをフルに使えば、実に2万枚以上もの写真を収録できる。
この膨大な写真の収録を意味あるものにしているのが、驚異的な写真のスクロールスピードだ。ホイールをクルクルと回せば、目にもとまらぬ速さで、次々と写真を切り替えられる。テレビとの連携も可能で、まさにアップルの意欲がひしひしと伝わってくる製品なのだ。
付属のドックは背面にS端子を備える。S端子ケーブルは付属していないが、市販のものを使用可能だ。アナログでのテレビ出力時は、ドックではなく上部のヘッドホン端子(AVポート)にケーブルをつなぐ | バッテリーの充電方法は変わっていないが、バッテリー容量がアップしたため、フル充電に要する時間が5時間と、第4世代iPodに比べて1時間伸びている |
付属のテレビ出力用ケーブルは、コネクター部分が長く抜き差ししやすい。ケーブルの根元を出力信号別に色付けするなど、アップルらしい作りだ |
クリックホイールの操作性は秀逸、音飛び防止は10分減
iPod photoの操作面での最大の特徴は、カラー液晶を搭載したことによる画像ブラウズや視認性のアップだ。この点については、あとのページで詳しく述べるとして、ここではそのほかのポイントや付属品、別売りオプションについて紹介していく。
第4世代iPodの40ギガバイトよりも1・5ミリほど分厚く、見た目にもよくわかるが、重さは5グラムしか増加していないので、手に持った感覚はほとんど変わらない。また、第1/2世代のiPodと比べるとスリムだ。とはいえ、第3/4世代の20ギガバイト以下のモデルと比べるとかさばるので、これらのモデルからの乗り換えを考えているなら、実物を確認してからのほうがいい。
ホイールの操作性は従来どおりで、直感的に操れる。再生や停止などのボタンは押し込まないと動作しないので誤操作は少ないだろう。ただし、従来は25分だったスキッププロテクションが15分に減少している。アップルによると、内蔵メモリーの一部をフォトビューアー使用時のサムネールのキャッシュに使うための仕様とのこと。AAC/MP3ファイルの再生なら音飛びの確率は低いので、神経質になる必要はないだろう。
iPod photo(左)と4G iPod。液晶モニターのサイズは、第4世代のiPodと同じ対角2インチなので、メニュー項目は7個まで表示できる |
上面のレイアウトも第4世代と同じだが、ヘッドホン端子が映像/音声出力を兼ねており、テレビ出力時には付属の「iPod photo AVケーブル」を接続して使う | 底面のドックコネクターの形状も従来どおりだが、テレビ出力用の信号が通るようになっており、付属のドックが備えるS端子につながっている |
第4世代iPodの40ギガバイトと比べると1.5ミリほど分厚いだけでなので、手に持った感触はほとんど変らない。しかし、第4世代iPodの20ギガバイトモデルと比べると4.5ミリも厚いので、ひと回り大きく感じるだろう |
iPod miniで好評だったタッチセンサー式のホイールとプッシュボタンを組み合わせたクリックホイールを採用しており、誤操作の心配が少ない |