【Macworld Expo 2005 Vol.3】Mac版Officeの機能を強化、Tiger対応も――MacBUマネージャーが語るマイクロソフトのMac向けアプリ戦略
2005年01月15日 12時35分更新
マイクロソフトのMac向けアプリケーション開発を担当する“MacBU”のJennifer Cockrill氏(左)とScott Erickson氏 |
米マイクロソフト社のビジネスアプリケーションスイート“Microsoft Office”シリーズは、Macintosh環境でも人気のアプリケーションである。以前に米アップルコンピュータ社が展開していた、WindowsパソコンからMacintoshへの移行を訴える“Switch”キャンペーンでも、Windowsと同じOfficeが使えることをアピールポイントとしていたくらいだ。Macworld 2005開催に合わせて、マイクロソフトでMacintosh向けアプリケーションの開発を担当するグループ“MacBU”(マック・ビーユー、Macintosh Business Unit)により、日本の報道関係者向けの合同インタビューが行なわれた。MacBUでGroup Program Managerを務めるJennifer Cockrill(ジェニファー・コックリル)氏と、Group Product ManagerのScott Erickson(スコット・エリクソン)氏に、Macworld 2005で発表されたマイクロソフトのMac向けアプリケーション戦略と今後について聞いた。
Macworld 2005で発表された、今後のMacintosh向けアプリケーションの予定は以下の5項目。MSN Messenger以外はいずれも『Microsoft Office 2004 for Mac』の機能拡張である。
- .PSTインポートツールの提供
- Outlook 2001 for Macのデータファイル(.PSTファイル)を、Office 2004 for Macの電子メールソフト『Entourage 2004』に移行するためのツール。
- 2005年後半 正式版提供
- Exchangeサポートの拡張
- Entourage 2004でのExchange Server対応機能の拡張。
- 2005年後半提供
- MSN Messenger for Mac Version 5.0
- Mac OS用の新しいMSN Messengerの提供
- 2005年前半提供
- Tigerのサポート
- 新Mac OS X“Tiger”への対応
- 2005年後半提供(一部OS依存の機能はTigerのリリースで有効になる)
- Job Toolsの提供
- Office 2004 for Mac用の無料オンラインリソースの提供
- 提供開始(日本語版は未定)
.PSTインポートツールについては、すでに日本語サイトでも『Entourage 2004 対応 Outlook 2001 PSTインポートツール』として、公開ベータテストが開始されている。
.PSTインポートツールの画面。転送するデータの種類を選択できる |
気になるTigerへの対応については、まずSpotlightによる検索は、Office側のアップデートなしで動作する。またそれ以外の機能については、2005年後半に予定されている次のサービスパックにて提供されるとのこと。とりあえずTigerの目玉機能に関しては、OSリリース直後から使えるようだ。ただし現状では、SpotlightでEntourage 2004内のデータを検索することはできない。これはEntourage 2004のデータフォーマットに、Spotlightが対応していないためとのことだ。対応についてはアップルと検討中という。またPDAやネットワーク接続された他のパソコンとのデータシンクロナイゼーション機能“.Mac Sync”についても対応の予定である。
Mac版Outlookとでも言うべき電子メールクライアントソフト『Entourage 2004』。ある意味では今回の発表で最も変化するのはこのソフトと言えよう |
MSN Messenger for Mac 5.0については、パーソナルユースと企業内ユースのアカウントをタブ1つで切り替えられる機能が加わった。ただしWindows版にあるボイスチャット機能やビデオチャット機能は、まだ実装されていない。機能面では、ビデオや音声をサポートするアップルの『iChat AV』にはまだ及ばないようで、MSN Messengerを使うWindowsユーザーと文字チャットをしたい、といった用途に限定されそうだ。
MSN Messenger for Mac 5.0の画面イメージ。発言の横に発言者のアイコンが表示されるので、誰の発言か分かりやすい | 見にくいが、画面左のウィンドウにある“MSN”と“Corporate”のタブが、個人用と会社用アカウントの切り替えタブ |
Job ToolsはOffice 2004 for Mac用のツール集で、特定用途・特定業務向けに制作されたWord、Excel、PowerPoint用の200のテンプレートやドキュメントが用意されている。ユーザーはこれを無料で使用できる。ただし現在提供されているのは英語版のみで、日本語版については、日本側で日本に向けたコンテンツを用意したいとのことだった。
米国で提供の始まったJob Toolsのサイト。中小企業や教育機関向けのテンプレートがダウンロードできる |
インタビューの最後に「競合するアプリケーションとなるアップルの『iWork'05』をどう思うか」との質問が出た。エリクソン氏は苦笑しながら、「とても面白い。長い間アップグレードのなかったAppleWorksの、素晴らしいアップグレードだと思う」と述べたうえで、マイクロソフトによるMacintosh環境へのコミットメントは、今後も続くと締めくくった。