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シャープ、東京と大阪を2元中継する“年頭記者会見”を開催――「2010年までに温暖化負荷ゼロ企業を達成する」

2005年01月12日 21時39分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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シャープ(株)は12日、東京・赤坂見附の赤坂プリンスホテルにプレス関係者を集めて“年頭記者会見”を開催した。昨年に続いて、東京と大阪の2会場を映像で結ぶ2元中継で行なわれ、両会場に集まった記者からの質問にも答えていた。会見には取締役社長の町田勝彦氏、取締役副社長の三坂重雄氏、取締役副社長の佐治 寛氏らが出席。町田氏は新たな同社の目標として、「2010年までに温暖化負荷ゼロ企業を達成する」と宣言した。

会見に出席した取締役社長の町田勝彦氏、取締役副社長の三坂重雄氏、取締役副社長の佐治 寛氏ら
会見に出席した取締役社長の町田勝彦氏、取締役副社長の三坂重雄氏、取締役副社長の佐治 寛氏ら(左から)
町田氏が開口一番発言した、シャープの新たな目標
町田氏が開口一番発言した、シャープの新たな目標

町田氏のこの発言は、1998年に社長になった際、「2005年までに国内の液晶TVをブラウン管から液晶(パネル)に置き換える」と目標を掲げたが、これが達成できたとして、同社の新たなる具体的な目標を示したもの。町田氏は「当初から訴え続けている“オンリーワン戦略”に従って、今年もシャープらしい商品を展開して“ナンバーワン”を目指す。この姿勢は変わらないが、昨年の五輪需要を経て“景気回復の踊り場”にある現状では、より企業の姿勢を明確にしなければならない。特に注目されているのが、京都議定書の発効を受けて環境への配慮を行なう“環境先進企業”だが、これを標榜するだけでは意味がない。そこで、当社の事業活動に伴う温室効果ガスの排出量と、太陽電池パネルの普及による“創エネ”、液晶パネルによる“省エネ”のバランスをとって、2010年までに排出量と削減量を均衡させることを目指す」と具体的に説明し、“環境技術なくして企業の成長なし”と有言実行の姿勢を強くアピールした。



排出する温暖化ガスと、液晶パネルによる省エネ、太陽光発電による創エネを相殺すると説明
排出する温暖化ガスと、液晶パネルによる省エネ、太陽光発電による創エネを相殺すると説明

その達成への道筋として、シャープが出荷している太陽光発電パネルを4kWクラスに換算すると、2010年までに全世界で110万戸の家庭に設置できればシャープの排出する温室効果ガスとの相殺が可能とシミュレーションしているという。同社はこれまでに4kWクラスの換算で23万戸分を販売しており、2005年以降平均17万戸分を売り続ければ目標はクリアできると実現性の高さを示した。

海外で積極的に利用されているという太陽光発電の事例 太陽電池の需要予測
海外で積極的に利用されているという太陽光発電の事例太陽電池の需要予測

続いて、2005年の同社の重点戦略について“太陽電池事業”“液晶パネル事業”に分けて、具体的に説明した。太陽電池事業は、「2006年に補助金が打ち切られるという逆風があるものの、更なるコストダウンに注力する、付加価値をつけるなどの努力で、この機会をバネに市場開拓を行なう時期と考えている」と語った。特に海外で太陽電池の需要が伸びており、ドイツなどは日本を追い越す規模に拡大する見込みで、出荷量は2006年度には2004年度の1.8倍、1600MW(メガワット)へと成長するだろうと楽観的な予測を示した。これに合わせて、奈良県葛城にある太陽電池パネルの製造ラインを増強して、月産350MWから400MWに引き上げる計画があることを明らかにした。

主力事業である液晶パネルの連結売上の推移
同社の主力事業である液晶パネルの連結売上の推移

液晶パネルについては、同社の液晶TV“AQUOS(アクオス)”シリーズが累計500万台出荷を達成し、好調な売れ行きを示していることをアピール。さらに、韓国メーカーが新工場を開設し、価格の下落もまだしばらく続くなど、熾烈な競争が続くことを覚悟しながらも、「競争に打ち勝つために大型TVでの次なる展開を考えている」と液晶パネル、特に液晶TVで引き続き強気に攻める姿勢を示した。

その背景として、

地上デジタル放送が今後急速に拡大すること
⇒三重県亀山の第1工場の生産体制を今年4月までに月産2万7000枚から4万5000枚に拡大
⇒現在建設中の第2工場では、世界最大の第8世代マザーガラス(2160×2400mm)を月産1万5000枚製造できる体制を作る予定で、このガラスから40インチクラスなら8枚、50インチクラスは6枚取れるなど、大型TVの量産体制を準備中
プラズマTVとの競合については、フルハイビジョン(1080p)表示できる性能とともに、今年は価格競争力でもプラズマTVに対抗する
具体的には、亀山の新工場では工場内搬送距離を従来の半分に(約2.5km→1.2km)、ターンアラウンドタイムを半分に(14日間→7日間)、部材の改良や工程の削減などトータルコストの低減を図る

などの施策を予定していることを説明した。

また、携帯電話を中心とする中小型液晶パネル(同社は“システム液晶”と呼称)も引き続き好調な出荷が見込まれるため、三重の第3工場のライン増強に530億円を投資し、生産能力を2インチ換算で月産680万台に増強する計画があることを明らかにした。これによって、既存の天理工場と合わせて月産1900万台の生産が可能になるという。この基板をガラス上に形成して薄型化・軽量化を図ったシステム液晶も、さらなる薄型化・小型化、信頼性の向上、部品点数の削減などを図り、コスト低下を目指すとのこと。

最後に具体的な売上目標については、「太陽発電事業は2004年度(見込み)の1100億円を、2005年度には1500億円、2006年度には2000億円へと成長させ、2010年に5000億円の売上を達成して、新たな事業の柱にしたい。一方、すでに中核をなす液晶パネル事業については、2004年度(見込み)の7300億円を上回る8300億円(2005年度)の売上を見込む」と強気の数字を示した。これらを実現するための投資計画として、2005年度は液晶関連に1400億円、太陽電池事業に100億円など、合計2200億円の投資計画があることも語った。



「これからも大阪に本社を置いてがんばる」

町田氏からの説明が終わった後に、記者からの質問に答える時間が設けられた。太陽発電については、補助金廃止に合わせて新たな販売チャンネルの開拓が必要ではないのか、と聞かれると、「国内より海外のほうが圧倒的に需要は増えるとみている。その割合は1:3程度にもなるだろう。一方、国内でも当面は住宅や公共施設が(導入先の)主力になるが、今後は建材としても受け入れられるのではないかと期待し、関係各社に話をしているところだ」と将来の販売計画の一端を説明した。

取締役社長の町田勝彦氏 取締役副社長の三坂重雄氏 取締役副社長の佐治 寛氏
取締役社長の町田勝彦氏取締役副社長の三坂重雄氏取締役副社長の佐治 寛氏

液晶パネルについて、韓国メーカーなどが大型化へのチャレンジを積極的に繰り返しているが、シャープとしてはどう見ているのかと聞かれると、町田氏は「技術的には大型化は可能だがコストに見合うとは思えない。また、65インチクラスの液晶パネルを作るのであれば(より大型のマザーガラスである)第8世代よりも第6世代のほうが効率はいい。第8世代はあくまでも40~50インチの液晶パネルを効率よく取る(生産する)ために設定したもの。現実的には60インチ以上の需要はリアプロ(ジェクター)のほうが多いと思う」と持論を展開した。

さらに大阪会場の記者が、「本当に言うほど40や50インチの需要があるのか? 日本の家はそれほど大きいとは思えないが」と指摘すると、「むしろ6畳間で40インチを見てほしいと思う。今までの(ブラウン管使用)TVが30インチ程度までだったのは、解像度が低くて近くで見ると粗が目立ってしまうのに対し、フルハイビジョンの液晶TVは近くで見てもきめ細かく、美しい映像が楽しめる」と国内でも40~50インチクラスの伸びが期待できることを強調。最後に大阪会場の記者が、「最近関西の企業が本社を東京に移すという話をよく聞く。昨年は大阪で行なわれた記者会見を、今年は東京で行なうのには何か理由があるのか?」と不安げに尋ねると、町田社長は「本社移転などまったく考えていないので安心してほしい。今後も大阪(大阪市阿倍野区)に本社を置いて活動していく。昨年が大阪だったので、今年は会場を東京に移しただけのこと」と一笑に付した。

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