NECビューテクノロジー(株)は6日、都内で記者説明会を開催し、スクリーンの手前から投射するフロントタイプのプロジェクターで、40インチサイズで投写距離6cm、60インチサイズで投写距離25cmを実現するDLP(Digital Light Processing)方式のプロジェクター『WT600』を商品化、夏ごろに発売すると発表した。想定価格は80万円程度を見込んでいる。
NECビューテクノロジー 社長の雄川孝志氏(右)とプロジェクト応用開発本部長の松本隆幸氏(左) | 記者発表会で実際に使われたWT600と投写スクリーン |
WT600は、従来のレンズによる投写画像の拡大ではなく、非球面ミラー4枚に反射させることで拡大するプロジェクター。投写面の背後に設置するリアタイプのプロジェクターでは、1枚のミラーを使って表示する製品が存在するが、フロントタイプのプロジェクターでミラー反射式を採用、製品化するのはWT600が初めてだという。
WT600のミラー投写の仕組み。DMDを反射した映像が4回(4枚のミラーを)反射して映し出される | DVI-I(アナログ/デジタル両対応)やEthernetポートを備えるほか、PCカードスロットを持ち無線LAN経由での受信映像や、デジタルカメラなどで撮影した画像データも表示可能 |
主なスペックは、DMD(Digital Micromirror Device)パネルサイズは0.7インチ、画素数は1024×768ドット、光源は220W(エコモード時176W)のNSH(高輝度水銀)ランプ、明るさは1200ANSIルーメン(エコモード時960ANSIルーメン)、コントラスト比は2500:1、最大表示解像度は1600×1200ドット(※1)、スクリーンサイズは40~100インチに対応する。
※1 最大表示解像度 同社独自の画素補間技術“Advanced AccuBlend”を搭載し、最大1600×1200ドットの入力信号をいったん1024×768ドットに変換、投写時に1600×1200ドット相当に補間して出力する。本体サイズは幅390×奥行き313×高さ313mm(収納時には4枚目のミラー部を折り畳むため、奥行きが296mm、高さは227mmになる)、重量は約5.9kg。
ミーティングスペースを模したデモ展示。机の上にある銀色(右端)のプロジェクターが従来の設置場所で、対してWT600は机の手前に置けるとアピール。ゆがみやフォーカスの調整は、従来のレンズ式ど同様に本体のボタンで行なう |
説明会には、社長の雄川孝志氏とプロジェクト応用開発本部長の松本隆幸氏が列席し、ミラー方式のメリットを具体的に紹介した。説明会のプレゼンテーションでも、60インチスクリーンの手前25cmほどの位置にWT600が設置され、「従来のプレゼンテーションでは、一番いい場所がプロジェクターに占有されていた。これは本末転倒だ。プレゼンテーションでは、本来プレゼンテーターやコンテンツこそ最も目立つべきだ」とWT600の短焦点距離の有利性を強調した。製品名の“WT”は“Wall Theater”の略で、壁を劇場にするという意味が込められているという。記者から、本製品の弱点について質問されると、「レンズ方式とは違い、(現在は)レバー操作によるズームはできない。スクリーンサイズに合わせるためには本体を前後に移動する必要がある」と答えた。