米国時間17日、今年もロサンゼルスで、世界最大規模のゲーム関連トレードショー、“Electronic Entertainment Expo(E3)”がスタートした。ロサンゼルスのConvention Centerをほぼ全フロア使い切るこの怪物ショーの今年の目玉は、何といっても、ソニー(株)、任天堂(株)、そして米マイクロソフト社による、コンシューマーゲーム機の最新ハードウェア対決だ。
GAMECUBEとGAMEBOY ADVANCEが大人気の任天堂
任天堂ブースでは『NINTENDO GAMECUBE』および『GAMEBOY ADVANCE』が大々的にお披露目になった。特にGAMECUBEの発売日が、日本が2001年9月14日、北米が11月5日、ヨーロッパが2002年早期と発売が間近に近づいてきているため、遊ぶことのできるゲームタイトルの展示もタップリ用意され、とにかく非常に混み合っていた。
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いよいよ登場間近のGAMECUBEとアメリカ初お目見えのGAMEBOY ADVANCEを大展開する任天堂ブース。任天堂ブースのあるWest Hallにソニーブースもあり、任天堂対ソニーの最新ハード対決、という印象が非常に強い(XboxのマイクロソフトははSouth Hall) |
また、前日(16日)のカンファレンスセッションで発表があった、松下電器産業のGAMECUBE互換機(展示名は『Panasonic DVD Player』)の展示も行なわれた。GAMECUBEのソフトは、松下が開発した専用の8cm光ディスクメディア(容量1.5GB)にて提供される(GAMECUBEのドライブもこれに合わせた小さいものだ)が、松下の互換機では内蔵のディスクドライブがDVD-ROMドライブとなっており、DVD Video、VideoCD、音楽CDの再生が可能。本体上部にドライブが取り付けられているGAMECUBEと違い、松下互換機はトレータイプのドライブが本体前面に配置され、上部にはトラック情報などを表示する液晶パネルが設けられている。また、DVDプレーヤー部の操作ボタンが追加されているが、GAMECUBE関連のポート(コントローラーおよびメモリーカードのスロット)の配置はほぼ本家GAMECUBEと同じ。さらに、本体にプリントされたロゴから、“Dolby Digital”と“dts”によるサラウンド音声出力をサポートすることがうかがえる。
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松下から登場するGAMECUBE互換機。GAMECUBEに似たボディ-だが、こちらはメタルシルバーカラー。DVDプレーヤー機能を内蔵し、これを操作するボタン類、液晶パネルが追加されている |
このほか、GAMECUBE関連の製品としては、モデムおよびCATV/ADSL用のネットワーク接続インターフェースも展示されていた。通信機能を内蔵しないGAMECUBEだが、早い段階でインターネット接続の道を用意するようだ
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PlayStation 2同様、通信インターフェースを内蔵しないGAMECUBEだが、会場では早速モデムとブロードバンドインターフェースを展示していた。オンラインゲームもすぐに遊べるようになるか?! |
発売で先行するソニーはソフトのラインアップで勝負
任天堂ブースのお隣、West Hallの入り口正面に陣取るのはPlayStation 2を擁するソニー。PlayStation 2はすでに発売しているだけに、展示は新作ソフトが中心。日本製ソフトももちろん多いが、米国発のアクションシューティング系ゲーム、スポーツゲームも豊富で(日米での趣向の違いがあるため、これらのジャンルはむしろ米国のほうがタイトルは多い)、PlayStationに引き続き、ソフトウェアのラインナップは抜きん出たものがある。
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West Hallのど真ん中に陣取るソニー。PlayStation 2の新作タイトル展示を中心に、昨年同様超巨大ブースを展開している |
ハードウェア系では、こちらでもCATV/ADSLによるブロードバンド接続のデモが行なわれていた。残念ながら、インターフェースそのものの撮影は禁止されていたものの、『Netscape Navigator』+『Shockwave Flash』によるウェブブラウジング、ADSL対応のAOLクライアント、『Real Player』によるストリーミングビデオ再生を見ることができた。高速常時接続環境がPlayStation 2にやってくる日も近いだろう。
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Netscape Navigatorが動作中のキーボードとマウスが接続されたPlayStation 2。ブロードバンド接続のデモンストレーション中だ。このほか、提携を発表したAOLのクライアントや、ストリーミングビデオの放映も実施中。残念ながら、ブロードバンド接続用のインターフェイスについては撮影禁止だった…… |
Xboxで殴り込みをかけるマイクロソフト
新たにコンシューマーゲーム機業界に殴り込みをかけるマイクロソフトは、もちろんこの秋登場となる『Xbox』を大々的に展示。PCゲームの展示スペースを遥かにしのぐスペースでXboxを展開し、すでに各所で紹介済みのSFシューティングゲーム『HALO』(米Bungie Studios社)を筆頭に、各種タイトルのプレイアブルデモを行なっていた。なお、Xboxについては、明日以降改めてレポートをお届けする。
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何しろ巨大なE3、残念ながら本日はXboxをゆっくり見る時間が確保できなかった。ハード、ソフトともに明日以降、改めて取材する予定だ |
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Xbox情報は明日改めて…… |
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South Hallの入り口階段にはイラストが施されている。今年はXboxへの搭載、PCビデオカード界の制覇と、ノリにノっているNvidiaのロゴマークだ(去年はXbox) |
ついにLord British立つ! 新会社を設立
フロア展示のスタートに合わせて、会場外で各種の記者発表が開催されている。本日注目のものを2つ紹介しよう。
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米Origin Systems社の『Ultima Online2』の開発中止発表後、にわかに活動が活発になっていた“Lord British”がついに立つ! オンラインRPGとシングルプレイRPGの2本を開発中とのこと |
先ごろ米エレクトロニック・アーツ社傘下のゲームスタジオであるOrigin Systemを離れた“Ultima”シリーズの創始者、“Lord Brtish”ことリチャード・ギャリオット(Richard Garriott)氏は、新ゲーム開発会社“Destination Games”の設立を発表した。Origin Systemsを離れたあと、しばらく沈黙していたリチャード・ギャリオット 氏がついに動き出したのだ。また設立発表と同時に、韓国のゲーム会社NCsoft社との業務提携を発表して、その調印式を行なった。
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記者会見には、Origin Systemsの共同創立者で実兄のロバート・ギャリオット(Robert Garriott)氏、韓国NCsoftのテクジン・キム(Taekjin Kim)氏らも参加した。なお、日本での展開については詳しく語らなかった |
NCsoftは、韓国発のオンラインRPG『Lineage:The Blood Pledge』(Ultima Onlineに似たシステムを採用した、多人数参加型のオンラインRPG)を擁するメーカーで、韓国では同タイトルが大ヒットとなっている。Destination Gamesとの提携により、Destination Gamesタイトルのアジア展開、およびLineage:The Blood Pledgeの北米展開を予定する
さて、注目のDestination Gamesの新タイトルは、多人数参加型のオンラインRPGとシングルプレイRPGの2タイトル。対応プラットフォームはまずはPC、その後PlayStation 2やXboxへの展開も検討するとのことだ。今回のところはスクリーンショットなど、各タイトルの詳しい情報の公開はなかったが、ぜひとも今後の動向に注目していきたい
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新会社設立発表ということで、この日のLord Brtishはかなりエキサイトしていた様子で、今後の展望について熱く語っていた。写真はNCsoftとの調印式のあと、プレゼント交換でゲットした扇子を手にちょっとはしゃぎ気味のLord Brtishと、お兄さんのロバート・ギャリオット氏 |
SCEアメリカも新作を発表
続いては、PS2の注目タイトルの発表。ソニー・コンピュータエンタテインメントアメリカ社は、日本を含む全世界向けの新タイトル『ジャック×ダクスター 旧世界の遺産』を発表した。本タイトルは、PSのアクションゲームの代表格『クラッシュ・バンディクー』シリーズの生みの親であるソフトハウス、米Naughty Dog社が2年以上の年月をかけて製作中の新作。クラッシュ・バンディクーシリーズに参加した米Cerny Games社も引き続き開発に参加する、豪華布陣のアクションゲームだ。
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クラッシュ・バンディクー開発チームが手がける新タイトル『ジャック×ダクスター 旧世界の遺産』。3Dの広大なフィールドを舞台としたアクションゲーム |
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ジャンプアクション、アイテムの組み合わせによりクエストを突破するパズル、謎解きアドベンチャー、そしてモンスターとの戦闘と、さまざまな要素が詰め込まれた作品だ |
ジャック×ダクスターの内容は、文明の失われた世界を舞台に、主人公がさまざまな謎解き、戦闘を繰り返して冒険をする、というアクションゲームの王道的内容。ゲームを進めるにはモンスターとの戦闘やジャンプアクション、パズル、レースなど、複数のテクニックを駆使していかなくてはならない。一本道のストーリーをフラグを立てながら進めるのではなく、広大なフィールドを走り回りながらストーリーを解き明かし、その途中でさまざまなアクションゲーム的要素をクリアしていく、という展開はアクションRPGにも近い印象も受ける。PlayStation 2のパワフルな性能を生かしたグラフィックスとクラッシュシリーズにも通じるコミカルで多彩、かつスムーズなキャラクターたちの動きも大きなポイントだ。リリースは2001年冬の予定だ。
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ジャック×ダクスターの記者会見には日米のスタッフが参加。SCEAのタイトルとしては、E3で最もプロモーションに力の入ったタイトルのひとつだ |