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SME、サイトを大幅リニューアル「15秒のインターネット専用CMをやる」【後編】

2001年05月15日 20時36分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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(株)ソニー・ミュージックエンタテインメントは、ナローバンド向けウェブサイト“Sony Music Online Japan”を本日リニューアルオープンした。ASCII24では、サイトリニューアルを担当した同社デジタルネットワークグループSME Network企画制作課の中沢慎太郎氏に引き続きお話を伺った。

(前編の続き)

レコード制作ディレクターから一転、インターネットチームに

[A] 「中沢さんはインターネットの専門家ではないとお聞きしましたが?」
[S] 「僕はSMEに入社して12年目ですけど、昨年7月末の異動まで11年間はレコード制作ディレクターだったんです。コンピューターに関しては遊び程度の知識しかなかった。その後インターネット担当になって、自分たちのサイトをあらためて見たのですが、ここをこう変えれば侮れないぞと思えてきた。もちろん単体での宣伝はまだできないかもしれないけれど、ラジオ、TV、雑誌、モバイルをうまく融合させて、意外に革命的な宣伝ができるんじゃないかと思って始めました」
[S] 「サイトの第一印象は“音が鳴るのが遅い”“ページが立ち上がるのが遅い”。既存のレコード店舗みたいに軽い気持ちで音楽が聴ける、いろいろなところにポップアップで説明が出ている、という感じじゃないとだめだと」
[S] 「ところがサイト上でいろいろやると重くなるなど、事情があることがだんだんわかってきたので、じゃあバナーのサイズを小さくしようと僕が最初に言い出したんです。バナーは現在1個2.5KBなんですけれど、当初は5KBくらいありました。始めて半年で、当初に比べかなり速く立ち上がるようになりました」
SME中沢氏
SMEデジタルネットワークグループSME Network企画制作課の中沢慎太郎氏
[A] 「すいぶん軽くなったのですね」
[S] 「“5KBじゃだめだ、2.5KBにしなきゃ”って会話で言うとセコいんですよ(笑)。でも、全部が2KBずつ下げると、20個バナーがあると40KBになるので、ユーザー側では10秒変わるじゃないですか。それを無視していたらだめだよと言うと、みんなの意識が変わってきましたね」
[S] 「それから、サイト上で新しいことをやるときに、サイト上で“スタートしました”と宣伝するだけだったのを、雑誌に1行載せるようにしました。それだけでアクセスが増える。そういう細かな作業のプライオリティーの付けかたの整理もしました」
[S] 「あとは、僕の個人的な趣味で、サイトのデザインテイストとして、ファンシーなものよりはある程度クールな感じのほうがいいのかなと。SMEは社会的に見たら時代の先端をいってるという感じがあると思うので、ブランドイメージも大事にしています。どんなサイト運営をしているかは企業のブランドイメージにつながるので、ブランド感の向上という意味でも、常に先を行って、デザイン的にもSMEらしい動きを提示しなければと考えています」
[A] 「現行のサイトで提供されている『Beatnik』について教えてください」
[S] 「Beatnikはサイト上で音を出したいということで導入しました。Beatnik Playerをダウンロードすると、ブラウザー上でアイコンにマウスを載せるだけで楽曲を試聴できるようになります。ただBeatnikを入れると遅くなるのです。でもマウスオーバーだけで音がすぐ出るというのは絶対にいいと思った。その究極の形が今回のリニューアルになると思います。リニューアル後は通常のページで音を聴かせたり動画を見せたりできるようになるので、Beatnikはいったん外します。ただ、BeatnikはFlashとの相性がいいので、今後何か面白いことができないか考えようと思っています」
SME中沢氏と大築氏
中沢慎太郎氏(右)と、デジタルネットワークグループSME Network企画制作課の大築一行氏
[A] 「『NET FLYER』(ダウンロードするとアーティストのさまざまな画像が表示され楽曲の試聴が行なえる)のダウンロード状況はどうですか?」
[S] 「NET FLYERは3月くらいから3アーティスト(chara/tef tef/葛谷葉子)に増えて、3000~5000くらいはダウンロードされています。こういうアーティストの宣伝となるものは、各社いろいろな形でやってると思います」
[S] 「今度のリニューアルから、CMが月16個できてくるわけで、NET FLYERのノウハウを活かして、友達にメールで送信できるといったサービスを今夏までにやりたいなと思っています。ただ、すごい人気アーティストだったら大変なことになると思いますが(笑)。CHEMISTRYがデビューしてサイトがオープンしたときなど、試聴件数は数万単位になりましたから」
[S] 「夏のサービス導入後は、NET FLYERのようなものが当たり前になると思うので、当たり前になってからが勝負かなと思っています。全社がやり出してからのほうが効果があると思うので、“あそこにいけば、あのアーティストのNET FLYERがもらえずはずだ”というのが常識になってくれるといいですね」
[A] 「CMを15秒にしたわけは?」
[S] 「レコードって、街中で同じ曲を何度か聴くと結構好きになるじゃないですか。僕は1週間に3回くらい聴くと今売れてきてるのかなとか思うんですが、そのうちの1回をうちのサイトが担うことは不可能ではないなと。トップページだけで200万回見られているわけですから、200万回誰かが聴くわけで、これは侮れない数字だと思っています」
[S] 「最初、15秒は短いかなと思ったのですが、15秒で十分なんですね。TVCMスポットはほとんど15秒じゃないですか。レコード会社はどんどんTVCMを打っていますが、あれで結構売れてる感じになりますよね。TVCMとサイトでは規模が違いますが、15秒の音をユーザーに聴かすことは侮れないです」
[S] 「サイトがリニューアルされた後、今度は6月にブロードバンド用サイトが開局されます。さらに携帯電話用サービスもあるので、インターネットでのレコードプロモーションにおける3セットが揃います。ブロードバンドは、単体ではない組み合わせ技ができるし、携帯電話はユーザー数がいちばん多い。これらの道具をどう使うかですね。ここ数年で回線も速くなりますし、世の中がどう変わるかが面白いところです」
[A] 「同業他社のサイトもSMEサイトを真似てくるでしょうか?」
[S] 「テキストベースの文化だと、各社とも同じようなサイトデザインになってくるじゃないですか。SMEが今回バッと変わるので、またみんなもいろいろ変えてくるんじゃないかなと思います。サイトデザイナーも増えてきてますので、まったく同じことはしたくないでしょうが、僕らの真似はそう簡単にはできないと思います」
[S] 「成熟してくればみんな同じになりますよね。TVもああいうものになった。何でも誰かが最初に開発するんだと思いますが、いちばんおいしい使いかたというのはそう何通りもないはずです。ただ、他社はここまでできないだろうという自信はありますね。後から真似をするのは簡単ですが、時間はかかると思います」
[S] 「レコード制作する人たちも音楽に詳しい人が成功するわけではありません。僕もこんなことができるとは思っていなかった。でも素人なので、専門家と視点が違うじゃないですか。“何で音が鳴らないんだ”と思うのは僕しかいなかったわけですよ。SMEだけでなく、ソニーグループ全体が違う発想を大事にしているんだと思います」

《5月10日/SME乃木坂ビルにて》

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