(株)ジャストシステムは、先日米サン・マイクロシステムズ社が発表した『Java2』に対応した日本語ワープロ『一太郎Ark
for Java』と、クライアント・サーバー型日本語変換システム『ATOK
Server』を、今年度中から順次市場に投入すると発表した。
![]() | 「今回の製品は一つの理想への第一歩だ」と語る浮川社長 |
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『一太郎Ark for Java(仮称)』は、既存のプログラムの移植ではなく、新たにすべてをJava言語で開発した日本語ワープロ。文書フォーマットとしてはHTMLを採用しているが、既存の一太郎やMicrosoft
Word、ワープロ専用機の文書の読み込みはサポートされる。
これまで発表されているJavaで書かれたアプリケーションは、起動/動作ともに遅いものが多かった。『一太郎Ark
for Java』はプログラムサイズが1MB以下と小さく起動も速いうえ、スタンドアローンでの使用だけでなく、ネットワークからの動的ダウンロードもサポートされている。デモンストレーションでは、プログラム自体の動作スピードを示すため、画像も含まれる文書をスクロールさせて見せたが、実用上十分なスピードが得られていた。この動作の高速性について同社では、C言語で書かれたプログラムの単なる移植ではなく、最初からJavaに最適化して作り上げたためとコメントしている。動作環境はサン・マイクロシステムズが提供するJRE(Java
Runtime Environment)やJDK1.1といったJava環境があるコンピューターシステム。ただし、JDK1.1上では、日本語のインライン変換や、アウトラインフォントなどの機能はサポートされない(現在JREはWindows
95/98/NTおよびSolarisに提供されている)。ワープロ自体については、ごく基本的な機能しか備えていないシンプルなもの。また、日本語入力IMは持たない。
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Windows 95英語版、iMac、NCなどで『一太郎Ark for Java』、『ATOK Server』を動作させていた |
また同時に発表された『ATOK Server』はATOK12相当の機能を、ネットワークに接続された複数のコンピューターから利用できる、クライアント・サーバー型日本語入力システム。標準辞書やユーザー辞書はサーバー側に置かれ、変換自体もサーバーで行なうため、ユーザーは接続されたどのクライアントからでも同じ日本語環境で利用できる。発表会場では『一太郎Ark
for Java』と組み合わせて、サン・マイクロシステムズのNetwork
Computer(ディスクレスシステム)で動作させて見せていた。これらの製品はJava2でサポートされる、クライアント・サーバー型日本語変換を実現するプロトコル『IIIMP(トリプルアイエムピー)』に対応している。
以上の2製品を’99年2~3月ころから、順次市場に投入するとしているが、詳細な時期や、価格、パッケージ内容などについては現時点では未定という。
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『一太郎Ark for Java』の画面。"J-Desktop"と呼ぶウィンドウの中で動作している。ただし、このJ-Desktopは一太郎の動作に必須のものではない |
ジャストシステムでは、Javaの日本語化に対してサン・マイクロシステムズと共同で研究開発を行ない、Java2の仕様に関しても数々の要求を出してきたという。今回の製品発表を含め、今後ともJavaの日本語環境の普及に向けてビジネスを展開するとしている。
