NTTアドバンステクノロジ(株)(NTT-AT)は、東京の新宿NSビル“NSイベントホール”にて29日、30日の2日間の日程で、同社の技術や製品、サービスを紹介するイベント“NTT-ATテクノフェア'98”を開催している。時間は10時~17時30分まで。入場無料。
同社は、日本電信電話(株)(NTT)の研究開発成果を産業界に紹介する“技術移転”を目的に'76年に設立された会社で、現在では技術移転だけでなく、独自の技術研究やコンサルティング、システム構築なども行なっている。“NTT-ATテクノフェア'98”は、こうしたNTT-ATの技術や製品を紹介するイベントで、現在の形態で行なわれるようになって今年で4回目となる。
展示会場は、“TIPS”、“マルチメディアソリューション”、“ワイヤレス&ネットワーク”、“最先端技術”の4つのコーナーに分れていて、合計96種類の技術や製品、サービスを紹介している。各ブースには、説明員がおり、専門的な質問にも答えてくれる。
●TIPS
TIPSとはTechnology Transfer & Intellectual Property Servicesの略で、技術移転事業と知的財産事業の総称。このコーナーでは、PHSで64Kbpsのデータ通信を行なえるようにする“PHS64K伝送技術”や19GHzの周波数帯を使いスループット15.2Mbpsの無線LAN環境を構築する“19GHz帯高速無線LAN装置技術”、携帯電話や電子手帳などの小型携帯機器向けに、1Vの電圧で動作する低消費電力LSIが製造できる“低電圧・低消費電力LSI設計・プロセス技術”などの技術を紹介している。
“低電圧・低消費電力LSI設計・プロセス技術”を利用して作られた腕時計型PHS。長野オリンピックの運営スタッフに配布され、オリンピック期間中に実際に使用された。発売などについては未定 |
●マルチメディアソリューション
マルチメディアソリューションのコーナーでは、CD-ROMやWebコンテンツなどのマルティメディアコンテンツのほか、音声認識技術を使った機器、セキュリティ関連ソフトなどを展示している。教育用ソフト『みる・きく探偵団』
『みる・きく探偵団』は幼児向け(4歳~)の教育用ソフト。“好奇心”や“観察力”が学べるという。Windows
95およびMacOSに対応し、来年の4月ごろに発売の予定。
電子本システム『Cyber Book』
『Cyber Book』用の専用端末。中身はPC/AT互換機で、モニターはタッチパネル。150万円 |
『Cyber Book』は、文字や音声、画像などのコンテンツを、電子本の形で扱えるように加工・編集するソフトウェア。サーバー上にデータを蓄積し、クライアントにはインターネットを使っての配信が可能。Windows
95/NT3.5以上に対応し、価格は応相談。なお、専用のビュアーソフトはhttp://www.hitcenter.com/で無料ダウンロード可能。
『オートダイヤルアダプター(仮称)』
携帯電話に登録してある電話番号に、通常の電話機から発信できるようにするアダプターを参考出品。音声認識技術により、相手の名前を言うだけで電話をかけられる。電話機の下にあるのがアダプター。将来的には、1チップになるという |
暗号電子メールソフト『FEAL for EUDORA PRO』
『FEAL for EUDORA PRO』のブース |
『FEAL for EUDORA PRO』はNTTの開発した暗号技術“FEAL”や“ESIGN”などを電子メールで利用できるようにするソフトウェア。メールソフト『EUDORA
PRO』のプラグインとして提供される。価格は1万2800円。Windows 95/NT用の『EUDORA
PRO Ver4.0』がバンドルされる。なお、“NTT-ATテクノフェア'98”の開催中は、ブースにて特別価格6000円で販売している。さらに、購入者にはISAバス対応のターミナルアダプター『AT-64ST
board/A』がプレゼントされる。
『想起型情報検索システム』 |
ほかにも、入力したキーワードから意味的に近い文章を検索できる『想起型情報検索システム』や、PDF対応の文書管理システム『PDF
manager』、ISAバス対応の4回線ISDNインターフェースボード『BRI 40/SC』および『CT-4BRI
Super』、イントラネット音声通話システム『ふぉんザねっと』などを展示している。
『CT-4BRI Super』 |
●ワイヤレス&ネットワーク
ワイヤレス&ネットワークのコーナーでは、無線技術を使った機器やネットワークに関連したシステムを紹介している。ワイヤレスデータシステム『WL-100II』
『WL-100II端末局装置』(左)と『WL-100II中心局装置』(右) |
MIPSのコーナーで紹介されている“19GHz帯高速無線LAN装置技術”を使った無線LANシステム。親機となる『WL-100II中心局装置』と、子機となる『WL-100II端末局装置』に分れており、親機と子機の間を無線でやりとりする。親機をサーバーに、子機をクライアントに接続する。1台の親機に対して10台の子機が利用可能。子機は10BASE-Tのポートを2つ装備しており、Hubをカスケード接続することで任意にポートを増設可能。価格は親機が100万円程度、子機が50万円程度。
“超高精細画像通信システム”
“超高精細画像通信システム”のブース。右側の28インチディスプレーの価格は550万円。重さは約100kg程度 |
ATM回線やISDN回線を利用して、2048×2048ドットの精細画像を配信するシステム。遠隔地からの医療診断や美術品の閲覧などでの利用が考えられており、すでに導入している医療機関もあるという。
このほかにも、ISDN機器を落雷によるショートから守る『ISDN用雷防護アダプター』やデジタル電話用の内線システム構築用のISDN擬似交換機『PCS600』などを展示している。
『ISDN用雷防護アダプター』 |
●最先端技術
最先端技術のコーナーでは、光ファーバーや半導体をはじめさまざまな先端技術を紹介している。超はっ水材料『HIREC』
『HIREC100』を塗ったガラス(左)とプラスチック(中)、木材(右) |
『HIREC』は、結露した水滴が、端子や基板に付着して、ショートや錆の原因にならないように、水滴をはじく薄膜を作る。コンクリート向けの『HIREC350』、ガラスやプラスチック向けの『HIREC450』、光触媒作用による防汚性のある『HIREC100』を展示している。
磁性箔テープ『NoiseBEAT tape』
『NoiseBEAT tape』を電源コードに巻きつけている |
『NoiseBEAT tape』は、電源ケーブルから発生する電磁波ノイズを低減するための磁性箔テープ。電磁波を吸収する磁性箔を樹脂性のテープに積層してあり、電源ケーブルに巻き付けて使用する。1mあたり98円から。
このほかにも、X線を反射する“多層膜極端紫外線反射ミラー”や光ファイバーの長手方向の歪み分布を測定する“光ファイバ歪み計測システム”などの先端技術を展示している。
“多層膜極端紫外線反射ミラー” |