1998年10月17日、大阪・日本橋(にっぽんばし)のでんでんタウン。関西では、ソフマップ大阪8号店、MacCollection2、ニノミヤPCXtown
Mac館、T-Zone大阪アップル館の3店鋪でMac OS 8.5の発売解禁カウントダウンイベントが開催された。
いよいよ23時50分。あと10分となった。行列ははるか彼方までつながった。約400人の人が日本橋でのカウントダウンに臨む |
関西は台風上陸を直前に控え、大雨が続く中、このイベントが開催された。時差の関係で、世界でもはじめて、どの国よりも早くOSを手にできるイベントにもかかわらず、午後10時ごろの大阪・日本橋の店頭に集ったMacユーザー数は1人、2人…と数えられるほどであった。この記念すべきイベントが一瞬危ぶまれたが、そこは関西人。午後11時をすぎるとがぜん増え出し、3店鋪のまわりに長蛇の列ができはじめた。「カウントダウンにさえ間にあえばいいんですよ」と傘をさしながらのカップルたち。これが、イラチながらものんびりした関西人気質なのかもしれない。
解禁前のソフマップ、T-ZONE前の模様。シャッターはまだおろされている |
「本日の発売情報はどこから?」という質問を行列する人に次々とぶつけてみると、そのほとんどすべてが、メールマガジンやメーリングリスト、そしてWWWに至るまで、インターネットを経由して情報を入手している。新聞だけを見て行列という人は、この夜中組に関しては少ないようである。急遽のカウントダウンイベントの告知には、インターネットが強力な告知メディアとなっていることがわかる。「噂はいろいろ聞いていましたが、実際にメールをもらって本日の発売を確認しました」という人が多かった。
23時すぎ、一番ノリの人への取材合戦もスタート。雨で出足が悪かったが、23時をすぎて客足が増え、一安心 |
PHSや携帯を駆使して秋葉原の情報と日本橋の情報をリアルタイムチェック。この時、すでに原田社長が何か秋葉原でイベントを行なうことがすでに大阪でチェック済み(まさかホームズとは…大阪でも何か考えなければ不公平では?)。 |
日本橋“夕方からの名物”と異名をとるホームレスの方々にとっては、このカウントダウンイベントは安眠妨害そのもの。たくさんの行列に身を丸くする。この地区のホームレスの多さは、サンフランシスコと同等 |
23時45分、店内で臨戦モードで応対するニノミヤ社員。こんな大きな福袋を用意し、他店との差別化を図る。すでにニノミヤへ行列する人たちへのアップルジュースのプレゼントを実施 |
ニノミヤPC X town Mac館宮原店長「MacOS8.5はたっぷり用意し、福袋にもお土産を入れてお待ちしています!」 |
アップルキャンディを配付しながら、アンケートでマウスパッドやジャンケンでスキャナーが当たるキャンペーンを告知するソフマップ社員 |
アップルコンピュータ(株)の後藤氏(左)、中西氏(右)も視察に登場。この雨の中でもMacユーザーの多さに一安心といったところか? |
本日、最年少の奈良からお越しの北村朋子ちゃん(1才7ヵ月)。Macユーザーの両親を持つとこんな時間に雨の中を連れ出される |
今回のカウントダウンは、台風までがアップルのイベントに対して、協力的であったような気がする。次はどんなカウントダウンイベントが各地の深夜を騒がすのだろうか?OSが世界同時一斉発売というワールドワイドなチャレンジには、アップルの意気込みすら感じることができた。iMac
、そしてMac OS 8.5と次々とMacユーザーには、未来が与えられたような気がする。
しかし、本当の未来はアップル社が自社のハードとOSだけではなく、Macintosh市場全体をもっと強力に牽引していかなければならないはずだ。アプリケーションソフトや周辺機器、そしてインターネット関連などでも、かつてのDTPやマルチメディアの分野のようなアドバンテージの誇れる部分を提供していかなければならないのではないだろうか?場つなぎ的なOSだけでは、行列してまで買う意味がないと感じた。Macユーザーはもっともっと感動したがっているはずだ。そろそろ暫定CEOではなく、腰をすえたプランが必要な時に来ているような気がした。