日本インターネット協会(IAJ)など3団体は本日、早稲田大学で“第41回IETF及びINET'98報告会”を実施した。これは、インターネットプロトコルの標準化を行なう組織Internet
Engineering Task Force(IETF)の第41回会議(3月30日から4月3日までロスアンゼルスにて開催)と、IETFの親団体であるInternet
SOCiety(ISOC)の年次総会(INET:7月22日から7月24日までジュネーブにて開催)の模様を報告するもの。グローバルなインターネット管理組織設立に関しての進捗状況などが説明された。
インターネットのワールドワイドの普及に伴って、ドメイン名、IPアドレス、プロトコルなどを管理するグローバルで中立な非営利組織が必要との気運が高まっている。そんな中、米商務省は、今年1月に“Green
Paper”と呼ばれる声明を発表し、米国での集中管理をアピールしたが、世界中から非難が集中した。妥協案を模索した米国政府は6月に“White
Paper”を発表。インターネットを管理する非営利団体IANA(Internet
Assigned Number Authority)を、“New IANA”として新たに組織化することなどを提案した。
高橋徹氏 |
White Paperは世界中の多くのインターネット関連組織に受け入れられ、この声明に応える形で、グローバルな管理組織設立を推進するための臨時グループ“International
Forum on White Paper(IFWP)”も立ち上げられた。米国、欧州などですでにフォーラムを開催したほか、8月11日にはシンガポールでアジア太平洋地域を対象としたフォーラムを開催する。早ければ9月末までにNew
IANAが設立される可能性もあるという。
ただ、どこに本部を置くか、各国の法制との間をどう調整するかなど問題も多い。また、日本インターネット協会会長の高橋徹氏によると、「現在ドメインを管理している、Network
Solutions社との間に生じる利害関係も問題のひとつ」。同社の管理するドメイン数は100万を超え、売上高、株価も大幅な伸びを見せているのだという。
対馬卓也氏 |
本日の報告会では、そのほかにワークショップの報告も行なわれた。日本ビクター(株)ビデオシステム開発研究所の対馬卓也氏も、日本から数々のワークショップに出席。同氏は、MPEGを利用した映像伝送のプロトコルに興味を持っているといい、IEEE1394インターフェースで接続される機器同士をIPプロトコルで制御するという“IP
over 1394”を紹介。同社でも来年中にIP over 1394を利用した製品を出したい、と話していた。