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【レビュー】これ1本で望遠レンズにも顕微鏡レンズにも――COOLPIXの可能性を大きく広げる『テレスコマイクロ8×20D』

2000年07月18日 00時00分更新

文● 編集部 佐々木千之

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デジタルカメラを使っていて、“遠くの画像をもっと大きく撮りたい!”、“小さなものをもっともっと拡大して撮影したい!”と思ったことはないだろうか。デジタルカメラに備わっているズームは、大抵の製品で3倍どまりで、良くて5倍といったところ。また、2~3cm程度まで被写体に寄れるマクロ撮影が可能なものもあるが、あくまで寄れるだけで顕微鏡的な画像が取れるわけではなかった。

大人気のテレスコマイクロ

(株)ニコンの子会社である(株)栃木ニコンが発売している『テレスコマイクロ8×20D』(以下テレスコマイクロ)は、まさにこうした要求に応えることができる製品だ。この製品は、8倍の望遠鏡としても最大60倍の顕微鏡としても使え、さらにニコンのデジタルカメラ『COOLPIX900/910/950/990』のレンズ部に装着して迫力のある画像をそのまま撮影することができる。

6月1日にニコンのオンラインショップである“ニコン ネットショップ”を通じて1万9800円(税、送料別)で販売が開始された。が、発売直後から人気が殺到して、生産がまったく追いつかず、現在も予約販売という状況。ちなみに本稿執筆時の情報では、今予約したとして商品が届くのはなんと11月中旬以降という、大人気商品となっている。

こんな薄いグリーンの箱に入っている
こんな薄いグリーンの箱に入っている



箱を開けるとこのような形で収まっている(実際には個別にビニール袋に包まれており、上に説明書が乗っている)
箱を開けるとこのような形で収まっている(実際には個別にビニール袋に包まれており、上に説明書が乗っている)



テレスコマイクロ8×20Dの内容。右上から、ストラップ、ステップアップリング、クローズアップレンズ、三脚座、レンズキャップ、スコープ本体、レンズキャップ、ソフトケース(布製)
テレスコマイクロ8×20Dの内容。右上から、ストラップ、ステップアップリング、クローズアップレンズ、三脚座、レンズキャップ、スコープ本体、レンズキャップ、ソフトケース(布製)



ニコンのCOOLPIX900シリーズ用のレンズアクセサリーとしては、2倍テレコンバーター『TC-E2』(1万4000円)、3倍テレコンバーター『TC-E3ED』(10月発売予定。価格未定)、ワイドコンバーター『WC-E24』(9800円)などが用意されており、一眼レフタイプでないデジタルカメラとしては、豊富に用意されているシリーズだ。しかし、他社の製品まで含めても、このテレスコマイクロほど“ユニーク”な製品はなかった。

COOLPIX990に取り付けたところ。テレスコマイクをレンズ部にねじ込んで装着する。レンズ部分が重くなるため、COOLPIX本体の三脚ねじ穴では固定できなくなるので、テレスコマイクロの三脚座を使用する
COOLPIX990に取り付けたところ。テレスコマイクをレンズ部にねじ込んで装着する。レンズ部分が重くなるため、COOLPIX本体の三脚ねじ穴では固定できなくなるので、テレスコマイクロの三脚座を使用する



拡大レンズとして使用する場合の拡大倍率は、被写体との距離で決まる。この画像ではさらに先にクローズアップレンズを装着している
拡大レンズとして使用する場合の拡大倍率は、被写体との距離で決まる。この画像ではさらに先にクローズアップレンズを装着している



テレスコマイクロは、TC-E2などと違って、デジタルカメラ専用に開発された製品ではなく、人が目で覗いて見られる設計にもなっているため、撮影画像に多少シャープ感が足りないと感じられるところもある。しかし、2万円程度で、ほかの製品で得られない、8倍の望遠レンズと、60倍の拡大レンズとして利用できることを考えれば、十分目をつぶれるだろう。

大迫力の撮影画像

後はテレスコマイクロによる望遠と拡大の威力を見ていただこう。画像は、COOLPIX990を使用し、晴れた日の午後に、ascii24の入っているビルから、直線距離で約800m離れた西新宿のKDDビルを撮影したものだ。撮影モードはプログラムオートで、フル解像度(2048×1536ピクセル)、クオリティー設定はノーマル、なおシャープネスの設定はオフにしてある。

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テレスコマイクロなしで、内蔵ズームレンズを最も広角の設定で撮影した画像


※画像をクリックするとオリジナル画像を表示します。500KB程度あります。

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テレスコマイクロなしで、内蔵ズームレンズ(3倍)を最大望遠(最もテレより)にして撮影した画像。普通はここまで


※画像をクリックするとオリジナル画像を表示します。500KB程度あります。

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テレスコマイクロを望遠レンズとして使用した画像がこれ


※画像をクリックするとオリジナル画像を表示します。500KB程度あります。

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さらにCOOLPIX990のデジタルズーム(4倍)を使って拡大したもの


※画像をクリックするとオリジナル画像を表示します。500KB程度あります。

次に拡大レンズとしての作例を見ていただこう。被写体として、画像は、COOLPIX990を使用し、1000円札の夏目漱石の文字を撮影した。撮影モードはプログラムオートで、解像度はXGA(1024×768ピクセル)、クオリティー設定はノーマル、なおシャープネスの設定はオフにしてある。

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内蔵レンズでマクロモードを使用し、めいっぱい寄せて(2cm)撮った画像


※画像をクリックするとオリジナル画像を表示します。170KB程度あります。

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クローズアップレンズを装着せずに撮影した画像。倍率は20倍弱


※画像をクリックするとオリジナル画像を表示します。170KB程度あります。

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クローズアップレンズを装着して撮影した画像。倍率は40倍程度


※画像をクリックするとオリジナル画像を表示します。170KB程度あります。

望遠でも拡大でも、ピント合わせは液晶モニターの画像を見ながら、テレスコマイクロ本体をゆっくり回転させながら行なわなくてはならないので、三脚は絶対に必要だ。また、望遠は8倍で固定だが、拡大では、テレスコマイクロと被写体までの距離で倍率が決まってしまう(10倍~60倍)ので、立体物などの撮影では正確に何倍ということは難しいかも知れない。

これは遊べる! 問題は納期か

今回試用してみての感想は、“非常に楽しい”という一言だ。バードウオッチなどアウトドアでの観察などに利用価値は高いだろう。この製品が2万円なら大人気なのもうなずけるが、発売から2ヵ月が経とうとしているのに、納期が4ヵ月というのは、いくら何でもあんまりだ。この点についてはぜひ早急に対策をお願いしたい。

◆テレスコマイクロ8×20Dの主な仕様
望遠鏡倍率 8倍
顕微鏡倍率(クローズアップレンズ装着時) 最大25倍(最大60倍)
対物レンズの有効径 20mm
アイレリーフ 10mm
実視界 6.5゜
見掛視界 52゜
最短合焦距離(クローズアップレンズ装着時) 114mm(16mm)
実視野(クローズアップレンズ装着時) 8.8mm(3.7mm)
ひとみ径 2.5mm
大きさ 全長 115mm×最大径 40mm
重さ(クローズアップレンズ装着時) 180g(200g)

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