【CA-World 2000 レポート Vol.2】チャールズ・B・ウォン会長兼CEOによる基調講演--マルチメディアDB『Jasmine ii』などを発表
2000年04月11日 00時00分更新
9日から14日までの6日間(現地時間)、米コンピュータ・アソシエイツ社(以下、CA)の主催する“CA-World
2000”が、米ルイジアナ州ニューオリンズの“Ernest N. Morial Convention
Center”において開催している。
CA-World 2000が開催されている、米ニューオリンズのコンベンションセンター |
約80ヵ国から2万5000人以上のIT関係者や顧客企業が参加すると見込まれている。今イベントは、“Software
That Can Think”(思考するソフトウェア)をテーマに、トレーニングセッション、プレカンファレンス、展示会などが催された。展示会場では、300を越えるITベンダーが出展した。
9日の基調講演では、CAの会長兼CEOを務めるチャールズ・B・ウォン(Charles
B. Wang)氏が登壇し、1万5000人の聴衆を集めた。本稿では、この基調講演の模様をお伝えする。
スモークの中から壇上に現れたチャールズ・ウォン氏。同氏は'76年にCAを設立した |
「乗り遅れるな!」と語るウォン氏
「われわれは今、インターネットビジネスという革命の時代に中に生きている。長い歴史の中でこれまでにも革命はたびたび起こった。しかし、その革命に本当に参加できたのは、ほんの一握りの人間に過ぎなかったのだ」つまり「乗り遅れるな」と、ウォン氏は聴衆に語る。乗り遅れないためには、迅速に、正しく動かなければならず、「どちらが欠けてもならない」と、ウォン氏は述べた。それは決して容易なことではないが、革命の参加者が手にする利益は大きい。
CAは、世界100ヵ国に1万8000人の従業員をもつ大企業に成長した。'99年の利益は6300万ドル(約66億円)。大手ソフトウェア企業の中ではマイクロソフトに次ぐ収益をあげている |
「米国人であるなら、アマゾン・ドット・コムのことは誰でも知っている。それは、彼らがこの分野の先駆者であるからだ。誰でも知っているから、誰もがウェブで本を買おうと思ったら、アマゾン・ドット・コムのサイトを開く。インターネットビジネスで先駆者になるというのは、そういうことだ」
『Neugents』--顧客を個別対応するダイナミック・パーソナリゼーション
'99年のはじめには300万のウェブサイトが立ち上がり、1年後には700万を越えた。「このような状況でインターネットビジネスを成功させるは、顧客を個別対応する必用がある」と、ウォン氏は主張した。それには、顧客の異なる要求に応じ、顧客の動向を個別に把握する“ダイナミック・パーソナリゼーション”の技術が求められる。
「友人に毎日同じジョークを言ったら、きっとあなたはその友人に嫌われるだろう。しかし企業が毎日違うことを言っていたとしたら、きっとその企業は顧客を失うことになる」と、ウォン氏は強調。「“ダイナミック・パーソナリゼーション”は、顧客の異なる要求に信頼ある対応をする技術でなければならない」と語った。
『Neugents』を紹介するデモ。顧客の経歴から車種や保険額を割り出すなど、個別対応を実現する |
「顧客が店頭で製品を購入するは、店に行き、ショッピングカートにその製品を入れ、レジの前の列に並ばなければならない。“ダイナミック・パーソナリゼーション”は少なくとも、顧客からその苦痛を取り除くことができるが、メリットはそれだけではない」と説明。そのうえで、同社が開発する『Neugents』を紹介した。
同製品は、人間の思考プロセスを要素として取り入れた、予測管理ソフトウェア。顧客の購入経歴を解析し、その顧客の購入パターンを調査する。顧客が必用とする商品を、個別に勧めることが可能となる。この技術は、今後、インターネットビジネスにおいて必須になるだろうと、ウォン氏は自信を持って述べた。
インターネット向けマルチメディアデータベース『Jasmine ii 2.0』を発表
「顧客は、さまざまな局面に、同じ方法で対処したいと願う」と、ウォン氏は語った。そして、「インタービジネスのあらゆる局面でシームレスな統合を実現する」という、マルチメディア情報のオブジェクトデータベース『Jasmine ii 2.0』が発表された。『Jasmine ii 2.0』は、直観的なユーザーインターフェースで、外部情報ソースを統合することができるという。B2B(ビジネスからビジネス)、B2C(ビジネスから顧客)、ASP(アプリケーションサービスプロバイダー)といったインターネットビジネスの分野で活用されるデータベースだ。また、取引、現場のオートメーション化、供給プロセスの管理、情報収集・管理といった運用が考えられている。
『Jasmine ii』の前身である『Jasmine』は、富士通とCAが共同開発したソフトだ |
インターネットセキュリティソリューション『eTrust』 を発表
ウォン氏は、免許証を妻に隠されてしまって釣りに行けなくなった男の例え話をしながら、セキュリティーはもっとも重大な課題であることを語った。インターネットビジネスにおけるセキュリティーは、クロスプラットフォームであることが求められる。「しかしクロスプラットフォームを前提にしたセキュリティ製品は、これまでに登場していなかった」とウォン氏は述べた。
そのソリューションとして発表されたのが、『eTrust』だ。同製品には、CAが2月に買収した米Sterling Software社の技術が用いられている。
CAの歩み寄り
かつては企業買収などで批判の多かったCAだが、社長兼COOに就任したサンジェイ・クマー(Sanjay Kumar)氏の努力などにより、同社はパートナー企業への歩み寄りを見せ始めている。「インターネットビジネスでの成功を、ここにいるみなさんと分かち合いたいと思います」とウォン氏は述べ、次にCAがボランティアで支援する2つの組織、“National Center for Missing and Exploited Children”と“The Smile Train”の活動を紹介した。
CAはオランダでも、行方不明の子どもと家族の再会を目的としたウェブサイトを立ち上げげている |
“National Center for Missing and Exploited Children”は、米国内で行方不明となったり搾取されている子供たちのためのナショナルセンター。CAでは、行方不明の子供を捜索ためのウェブサイトを開発している。“The
Smile Train”では、世界20ヵ国において、兎唇を持つ子供たちに無料で外科的処置を施している活動だ。
ウォン氏の祖国である中国では毎年、300人の兎唇を持つ子供たちが産まれているという |