(株)アイ・ブロードキャストは27日、ストリーミング方式の動画配信システム“テラ・システム”の開発を発表し、都内で発表会を開いた。同システムではMPEG-4と独自の圧縮技術による動画配信に対応。Javaを使用しているため、クライアント側では専用プレーヤーソフトやプラグインソフトをインストールせずに動画を視聴することが可能としている。同システムの発売は今年11月を予定。特にモバイル端末向けの動画配信市場向けに初年度5億円の売上を目指す。
アイ・ブロード社長の上田拓右氏 |
同システムは、動画をエンコードして送出する“テラ・ストリームキャスター”、動画配信を管理する“テラ・ストリームサーバー”、端末へ動画を配信する“テラ・ストリームアプレット”の3コンポーネントで構成され、専用ハードとソフトが用意されている。
テラ・ストリームキャスターでは同時に4系統までのカメラ映像を配信可能。次世代移動体通信方式・W-CDMA標準の動画形式であるMPEG-4と、同社独自の圧縮形式に対応する予定。テラ・ストリームサーバーは100チャンネルまで同時管理。ユーザー認証と課金機能も搭載し、クレジットカード決済など複数の決済方式に対応する。テラ・ストリームアプレットはJavaを採用しているため、端末側では専用ソフトを必要とせずに動画配信を受けることが可能という。
同社では同システムの用途として、在宅の患者をリアルタイムに監視する医療向けシステムなどを想定。またW-CDMA端末はJavaに対応する予定で、同方式の静止時で最高2Mbpsという広帯域を活かしたライブ動画配信サービスを強く意識しているという。
同システムは現在開発中で、正式リリースは今年11月を予定。販売はソフトとハードのセットで行ない、代理店を通じて行なっていく。すでに数社の商社から引き合いがあるという。初年度は30セットで5億円の販売を見込む。今後は欧米やアジアへも販売を広げていきたい考えだ。
発表会で同社社長の上田拓右氏は、「パソコンが携帯端末に置き換わる時代が到来し、W-CDMAは大きな市場として目の前に広がっている。この世界市場に先駆け、まずは日本市場に進出する」と語り、日本のW-CDMA市場での成功を足がかりにグローバル展開を進める方針を表明した。
同社は今年2月、都内に設立。資本金は5000万円で、社長の上田氏が51パーセント、ほか個人株主2人が24.5パーセントずつ出資しているという。