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アプライドマテリアルズジャパン、設立20周年記念で記者会見

1999年09月24日 00時00分更新

文● ケイズプロダクション 岡田 靖

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半導体製造装置でトップシェア

半導体製造装置大手の米アプライドマテリアルズ(Applied Materials:AMAT)社は、その日本法人のアプライドマテリアルズジャパン(株)(Applied Materials Japan:AMJ)の設立20周年を記念して、24日都内ホテルで記者会見を行なった。AMATは半導体製造工程のうち、ウェーハ処理工程(前工程)のほぼすべての装置を取りそろえており、ワールドワイドの売上高ではほぼ半分のシェアを占めている。AMJも、昨年からの半導体不況の中、ほぼ前年並みの売り上げを達成し、日本でも同じく約半分のシェアを確保したという。今回は、AMAT会長兼CEOのJames C. Morgan(ジェームズ・モーガン)氏が来日し、20周年の節目として同社の歩みと戦略を語った。

AMAT会長兼CEO James C. Morgan氏
AMAT会長兼CEO James C. Morgan氏



台湾地震の影響は軽微

Morgan氏は冒頭で、「つい先日、台湾の現地法人Applied Materials Taiwan(AMT)の10周年記念に、懇談会のために赴き、帰国したところだ」と語った。幸い、氏はすぐに帰国して難を逃れ、また、AMTに関しても、500名以上にのぼる従業員や設備には被害が及ばなかったという。彼らの顧客である半導体メーカー各社は、停電や設備の一部破損などで操業を停止している状況だが、'89年のカリフォルニア地震の際に、今回より震源地に近かったサンタクララ(シリコンバレー)でもすぐに復興したことから、数週間のうちに回復するだろうとしている。

今までの歩みと21世紀への戦略

'77年に、その前年にAMAT代表取締役に就任したMorgan氏は初めて日本の地を踏んだ。日本の半導体業界の立ち上がる時期だった。当時の日本は、まだ半導体製造装置の市場が確立するかどうかという状況であったにも関わらず、日本法人の設立を決断したという。その後、現AMJ会長の岩崎哲夫氏らを中心として、'79年にAMJを設立した。徹底した現地経営、現地生産にこだわり、巨額の先行投資で成田市にテクノロジーセンターを開設、また日本各地に営業所やサービスセンターを配置し、顧客サービスの向上に努めている。

AMJ会長兼AMAT Japan Representative兼アプライド
AMJ会長兼AMAT Japan Representative兼アプライド


コマツテクノロジー(AKT)取締役会長 岩崎哲夫氏

'90年頃から日本の半導体業界は右肩下がりにシェアを落としている(生産量は上昇しているのだが、それ以上に他の地域での生産量が増大している)が、そんな中でもAMJは売り上げを伸ばし、'98年には「AMJとしては良くないほうだが」(AMJ社長兼AMAT副社長 赤坂洋一氏)としつつも、日本国内での半導体製造装置市場でトップシェアに立った。

AMJ社長兼AMAT副社長 赤坂洋一氏
AMJ社長兼AMAT副社長 赤坂洋一氏



今後の半導体市場は、コンピューターのほか、通信機器とコンシューマー機器の3つの柱が中心となり、さらに急速な伸びになると予想されている。AMATでは、回路の微細化、新たな素材、そしてウェーハの300mm化(現在の主流は200mm)と、3つの技術的な波があるとし、それらに対応するために今後も技術開発に一層の注力をするという。

「日本の強みはデジタルコンシューマー技術だ。我々はそこに期待している」とMorgan氏。日本のメーカーは半導体だけでなく、総合的なシステムを作る力がある。今後のSystem-on-Chip(SOC)時代には総合力を発揮して、近い将来また伸びるだろうとしている。「あとは決断を早め、積極的に投資を進めるだけだ」と、ともすれば決断が遅れがちな日本メーカーに対する皮肉とも、叱咤激励とも取れるコメントを残した。

半導体製造工程
半導体製造工程は、大きく2つにわけられる。Siウェーハそのものに対して加工を施す前工程と、ウェーハを切断し、チップとしてパッケージする後工程だ。前工程では、ウェーハに写真焼き付けの要領(フォトリソグラフィー)で素子や回路のパターンを作成し、素材を削り(エッチング)、または堆積させて(Phiscal Vapor Deposit:PVD/Chemical Vapor Deposit:CVD/メッキ)立体的な回路を形成する。また、それらに付随して、熱処理や、加工によって凹凸ができた表面を研磨し、平滑にする(Chemical Mechanical Polish:CMP)など、さまざまな工程がある。AMATは、フォトリソグラフィーに用いられる露光機(ステッパ)以外、ほぼすべての装置を網羅しており、それらを組み合わせてクラスターツールとして提供している。これが同社のいう“Total Solution”だ。







クラスターツールの概念図クラスターツールの概念図



M&Aの彼方に

発表後の記者懇談会で、AMJ社長兼AMAT副社長の赤坂洋一氏は、M&Aで各種の技術を揃えてきたAMATの歴史を振り返り、「次はどこを買収するのかと、記者によく聞かれる」と苦笑した。手広い買収により、半導体前工程のほぼすべてを揃えた同社だが、買収には相応の苦労が伴う。「AMATにはAMATなりのカルチャーがある。買収した企業をそれに馴染ませるまで、本来の意味でのラインナップには入れられない」という。だが、さまざまな工程に対応することによって、初めてクラスターツールが可能になるのであり、同社が成功した理由の1つでもあるはずだ。「今度はステッパですか」との記者の問いに苦笑していたが、否定もしなかった。もしかしたら……と考えるのは、邪推であろうか。

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