サン・マイクロシステムズ(株)は、企業の基幹業務システム構築に向けて、データセンターとインターネット技術の融合を可能にする戦略“datacenter.com”を発表した。
datacenter.comは、メインフレームに代表される厳格な運用規制を持つデータセンターの考え方と、柔軟なインターネットの利点を統合し、新しいデータセンター環境の構築を推進するもの。企業は、ネットワークに対応したデータセンターを活用することで、ネットワークを利用した新しいビジネスの展開ができるようになるという。同社は、この戦略を実現するために、新世代のプラットフォーム環境やソフトウェア環境、サポートなど、統合的なサービスを行なうとしている。すべてのサービスが始まるのは、来年から。
datacenter.comの中核となるのは新しいアーキテクチャーである“Genesys(ジェネシス)”で、これは、インターネット時代のデータセンターにおいて、ネットワーク上に分散して存在するシステム資源を、1つのシステムと見なして統合的な管理を可能にするアーキテクチャー。従来の資源管理は、中央集中型のデータセンターで閉鎖的に行なわれていたが、このアーキテクチャーでは、ネットワークやサーバーなどが有機的に結合されたデータセンター環境で、資源管理を可能としている。これを実現させるサーバー製品として、すでに発売されているハイエンドのデータセンター・サーバー『Sun
Enterprise 10000(通称:Starfire)』および、ミッドレンジのデータセンター・サーバー『Sun
Enterprise 3500』、『同 4500』、『同 5500』を挙げている。
![]() | 『Sun Enterprise 10000』 |
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また、datacenter.comを実現させる新しいサポート・プログラムとして『Mainframe
Affinity Center(仮称)』、『SunUPプログラム』、『サーバー統合サービス』が発表された。
Mainframe Affinity Centerは、サンのデータセンター・サーバーとメインフレームの、異機種混合環境を利用するユーザーを対象に、情報やリソースを提供するもの。SunUPプログラムは、トランザクション処理などミッションクリティカルな基幹業務システムの信頼性を高めるためのサポートプログラム。システム環境の定義を行ない、システムの信頼性を保証することで、企業のTCOを削減する。サーバー統合サービスは、既存のサーバーを最適化するために、サーバー統合プロジェクトの評価や設計、構築を行なうもの。
同社が既に別の目的で提供している製品やサポート・プログラムの中で、datacenter.comの実現を支えるものが同時に紹介された。
エンタープライズ製品としては、システムの信頼性を高める『Sun
Enterprise Cluster 2.2』、システム資源の使用効率を向上させる『日本語Solaris
Resource Manager 1.0』、システム資源の管理を行なう『Solaris Bandwidth
Manager 1.5』などが紹介された。
また、技術サポート・プログラムとしては、JavaやJiniテクノロジーの技術検証・実証作業を行なう『Javaセンター』、IBMのソフトウェア製品をサンのサーバー上で動作させるための技術支援を行なう『IBM-Sunコンピテンシー・センター』、ERP/SCM分野でのソフトウェア製品をサンのサーバーへ適応させる技術支援を行なう『ERP/SCMソリューション・センター』などが紹介された
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代表取締役副社長の菅原氏 |
代表取締役副社長の菅原氏は、datacenter.comのビジョンについて、「サンは、あらゆるものを.comにする“.com
the world”をテーマに、.comビジネスの中で、中心的なメーカーになることを目標にしている。現在のポータルサイトやソリューションプロバイダーの過半数は、サンのプラットフォームで動いる。そのため、さまざまなサービスにおいて、他社のインターネットビジネスより有利であるはずだ。オンラインビジネスは、datacenter.comによってデータセンター中心のシステムから、インターネット中心のシステムへと変わっていく」と述べた。
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エンタープライズサーバ事業部部長の山本氏 |
エンタープライズサーバ事業部部長の山本氏は、datacenter.comについて、「アプリケーション資源を変更しないで、システムを構築することを基本原理としている。そのため、システムはシンプルになり、企業のリスクは低減されるだろう。我々は今後、次世代データセンターの基盤として、datacenter.comを推進していく」と述べた。
