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日本SGI、Windows NT搭載ワークステーションは、チップセット“Cobalt”で差別化

1999年01月12日 00時00分更新

文● 報道局 清水久美子

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マシン背面部
マシン背面部



 また、両モデルとも10/100MbpsのEthernetインターフェースを装備するほか、S端子、コンポジットビデオ、オーディオ(アナログビデオ)I/Oを装備。USBとIEEE 1394もサポートする。グラフィックスは、1920×1200ドット、24bit以上の高解像度表示に対応。オプションで、17.3インチ液晶ディスプレー『Silicon Graphics 1600SW』が用意されており、既に販売が開始されている。価格は42万9000円。出荷時期は『Silicon Graphics 320』が2月、『同540』が4月の予定。

 アプリケーションについては、NFSクライアントソフトウェア『Hummingbird NFS Maestro Solo』、3Dビューアー『Template Graphics Livework 3D』、Macintoshネットワーク接続ユーティリティー『Miramar PC MACLAN』などがバンドルされる。これらにより、UNIX、Windows NT、Macintoshなどが混在するプラットフォームでシームレスにデータのやりとりができるという。

 米国では、サードパーティー各社や米SGIがアプリケーションを対応させることを表明。SGIの子会社米Alias|Wavefront社の『DesignStudio』もWindows NT版に対応することが発表されている。また、米オートデスク社は『AutoCAD Mechanical』と『Mechanical Desktop』のWindows NT版を出すことを表明している。

 また、今回の記者発表会には、インテル(株)の西岡郁夫会長、マイクロソフト(株)の阿多親市常務取締役も出席。

インテル(株)の西岡郁夫会長 インテル(株)の西岡郁夫会長



 西岡会長は、「これまでSGIのワークステーションは価格も性能も“高嶺の花”だった。これだけの性能のマシンが低価格で手に入るということは、インテルに来る以前にCAD/CAMの開発をしてきた私個人にとっても、ダイナマイトな発表だと実感している。また、SGIは上位モデルから下位モデルまでわが社のアーキテクチャーに移行する計画を発表している。これは、市場そのものを変えていこうという意思だと受けて取っている」とコメントした。

マイクロソフト(株)の阿多親市常務取締役 マイクロソフト(株)の阿多親市常務取締役



 また、マイクロソフト(株)の阿多常務取締役は、「これまでWindows NTの戦略としては、ビジネスユースに向けたTCO削減、生産性向上の話ばかりだった。Windows NTを搭載したビジュアルワークステーションの発表により、NTの世界でクリエィティビティーを実現してくれるのではないかと期待している。また、これまでのSGIのマシンで使用されてきたアプリケーションがNT用に移植されるだろう。これは願ってもない出来事だ」と述べた。


ソリューション提供などの直接販売を強化--直販と間接販売の2ビジネスユニットを推進

 また、同時に新しい経営戦略も発表した。これまでの代理店中心の販売に加え、直販営業を強化する。具体的には、直接販売を推進する“ソリューション営業本部”と、間接販売を推進する“ワークステーション営業本部”を新設し、2体制で事業を進めていく。“ワークステーション営業本部”では、コンパックコンピュータなどと同じ販売モデルを目指し、代理店販売を推進することでローコスト化を目指すという。今回発表になったビジュアルワークステーションは、“ワークステーション営業本部”の管轄化で流通業者など代理店を通じて大量出荷を狙う。

ローコストで大量出荷--ビジュアルワークステーションで、年間60%の成長率を狙う


日本シリコングラフィックス(株)の和泉法夫社長

 日本シリコングラフィックスの和泉法夫社長は、「今回の製品で『Silicon Graphics』と銘打ったように、このビジュアルワークステーションの発表は、新たなビジネスモデルへの参入を表している。特に、これまで手掛けていなかったデータベースを中心としたビジネスアプリケーションの市場にも参入していく。これは、これまでの計算を中心としたテクニカルコンピューティングからビジネスコンピューティングをターゲットに入れるということ」と説明
した。

 このほか、「まわりから、“SGIのマシンでExcelが動くのか”という質問を受けるが、答えはもちろん“Yes”だ。それも、2次元だけの世界でなく、ビジュアルコンピューティングのコンセプトに基づいた世界で実現する。今後5年以内に国内売り上げ高1000億円の販売を見込み、ワークステーションに限れば、60パーセントの成長率を目指す。マザーボード単体での販売、また筐体のデザイン変更など何でも積極的に検討していきたい」と強調した。

 また、“Cobalt”技術を他社に提供していく可能性については、「まず、ビジュアルワークステーションとしての地位を確立することと」し、今後考えていきたいとした。

 ビジュアルワークステーションの初年度出荷目標は2万台の予定。『同100/200』シリーズといったローエンド向けモデルや、今回発表したモデルの中間に位置付けられる『同400シリーズ』、さらに『同300/500』シリーズのモデル追加のほか、ノート型の可能性も示唆した。なお、ビジュアルワークステーションの大量出荷は6月以降になるとしている。

 なお、今回のビジュアルワークステーションの発表に対して、これまでのSGIと同様RISCプロセッサーを採用している米サン・マイクロシステムズ社は、バイナリー互換がソフトの開発、システムの拡張性などにおいて重要であることを自社のホームページに公表。サンによれば、「SGIはバイナリー互換を捨てて顧客に不利益をもたらした」としている。

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