こんなに反響があるとは、私もビビった……。当事者がそう思ったどうかは知らないが、ネット上では先週末ごろから、東京都知事選に立候補したある候補者の政見放送が、YouTubeなどの動画投稿サイトに公開された。その常軌を逸した言動が賛否両論になっていた。
「対応は手探り」と担当者
東京都選挙管理委員会は、動画共有サイト“YouTube”と“Ameba Vision”にアップロードされている、この候補者の政見放送について削除依頼を申請した。選挙管理委員会がこうした対応をするのは異例だ。
選挙管理委員会の担当者によると「公職選挙法で政見放送の回数は決められており、特定の候補者の映像だけが自由に見られる状況は各候補者間の公平を損ね、好ましくないと判断したため、削除要請に踏み切った」という。
都の選挙管理委員会では、5日の19:00ごろにYouTube、同日の22:00ごろにAmeba Visionに削除要請を行なったが、原稿執筆時(同23:00ごろ)の段階では、先方の回答待ちの段階にあるという。編集部で調査したところ、当該の動画に関してはYouTubeで参照可能になっていた。
今後こうした問題が増えるのではないかという編集部の質問に対し、担当者は「どういう対応ができるかは手探りになっている」と当惑の色を隠せない。今回は削除要請をする形になったが、今後はより適切な方法があるかどうかを検討していきたいと話す。
米国では、選挙活動に積極利用されているYouTube
国内は遅れが目立つ
なお、YouTube上には、米国の大統領選の候補者が自らの主張を動画配信できる“You Choose 08”と呼ばれるサイトがオープンしている。今後は国内でも、放送や新聞に続く、第3のメディアになったインターネット上での選挙活動をどう位置づけるかの議論が必要になるのだろう。それにしても、インターネットメディアに対する対応の遅れを感じるのは筆者だけだろうか。