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【レビュー】原点回帰したコンパクトデジタルカメラの定番モデル

IXY DIGITAL 10

2007年03月18日 12時44分更新

文● 行正和義

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初代(200万画素)以降、キヤノン(株)の“IXY DIGITAL”(イクシィデジタル)シリーズは「コンパクトデジタルカメラの定番」というポジションにあり続けている。CCDの高画素化やより小さく薄いボディーなど、デジタルカメラの進歩に合わせつつ、高品位な外装や妥協の少ない画質、撮影機能を盛り込みつつも複雑すぎずにオートを中心とした操作系など、いずれもコンパクトデジタルカメラのフォーミュラを確立した製品と言ってもよいだろう。

IXY DIGITAL 10

キヤノンの『IXY DIGITAL 10』

前面も背面もフラットなボディー
汚れ防止コートの威力は指紋も寄せ付けない!

最新モデルにあたる『IXY DIGITAL 10』は、直方体のボディーと電源オフのときはフラットになる前面など、IXYシリーズの基本は踏襲しつつ、さらにデザインを洗練させているのが大きな特徴だ。ボディーは見事なまでシンプルでソリッドな直方体となり、レンズが沈胴したときフラットになる前面はもちろん、背面の液晶パネルやスイッチ類に至ってもほとんど凹凸がない。液晶パネルの表面が背面の金属フレームとほとんど“ツライチ”になっている(ほぼ直線上にある)のは一見すると不安だが、本機では液晶パネルに反射防止コーティングとキズ防止コーティング、汚れ防止コーティングを組み合わせたマルチコートを採用し、見やすさと強度を確保している。特に汚れ防止コートの威力は高く、液晶パネルの表面を触ってしまってもほとんど指紋が残らないのは驚きだ。また、ボディーから出っ張っていないスイッチ類がやや押しにくいようにも思えるが、実際に操作してみるとしっかりとした押し応えがあるボタンのため、操作感は非常にしっかりとしている。

本体前面

直方体ボディーにレンズ周囲の円形モールドというIXYならではのデザイン。直線が際立つためいっそうコンセプトが明確となった

本体背面

液晶パネルとスイッチ類など、基本的な操作は従来のIXY DIGITALシリーズを継承し、昨今のコンパクトデジタルカメラでは省略されがちな光学ファインダーも装備する

デザインだけなく、ボディー自体も厚み19.4mmと、従来機の『IXY DIGITAL 70』から-2.3mmと大幅に薄くなった。屈曲光学系を搭載する製品や、沈胴時にレンズの一部がスライド/スイングするタイプの製品ではこれよりも薄いものはあるが、レンズ群がストレートに沈胴するデジタルカメラとしてはかなり努力を重ねた結果、スリムに仕上がったものと言えるだろう。

本体上面

シャッターボタンの周囲がズームレバーとなっている。シャッターボタン自体、ボディーからわずかに高くなっているのみでズームレバーは小さな突起のようだが操作には問題ない

左右両側面

右側面にはストラップ孔とAV、USBコネクターが用意される。レンズは2段伸長でクイックに伸長・沈胴する

内部にも細かな変更が随所に施されている。画像処理エンジンは先に発売された『IXY DIGITAL 1000』(2006年9月発表)などと同様の“DIGIC III”を採用し、最高ISO 1600相当までの高感度撮影に対応したほか、“顔認識機能”も搭載した。これは画像処理によって画角の中で最大9人までの顔を認識して最適なAF(ピント合わせ)、AE(自動露出)、FE(フラッシュ露光量調整)がなされるとともに、再生時にも顔を認識して赤目をチェックし、補正して表示する機能を備えている。

本体底面

スイッチ類も凹凸がほとんどなく、液晶部も背面ボディーと同一平面で構成されている。ボタン類はストロークがあって押しやすく、モード切り替えレバー部にモールドを強めにしてホールド時に親指が掛かりやすくしているのはなかなかの配慮。コンパクトカメラではなおざりにされがちな三脚孔が、理想的なレンズ直下に位置しているのは、同社ならではのこだわりと言える

ISOブースター

ISOブースターの利用方法。暗い状態でシャッターを半押しにすると手ぶれ警告(左下)が赤く表示され、円形カーソルの左上にあるボタンのLEDが点灯する(上)、ボタンを押すと手ぶれしにくい感度までISO感度がアップする。なお、画像ではスタジオのフラッシュ撮影下なの見た目よりも暗い状況で動作させており、ISO 800に増感しても1/10秒となっているため手ぶれ警告が消えていない

また、新たに“ISOブースター”と呼ばれる機能が追加された。デジタルカメラでは高感度にすればノイズが増えるため、暗いシーンなどで自動的に感度アップするISO感度設定“オート”では、あらかじめ上限が設定されているものがほとんどだ(手動で設定できる最高ISO感度までは上がらない)。同社製品ではISO感度の手動設定と“オート”、さらに最高感度まで自動的に感度アップする“高感度オート”の3つのモードが用意されているが、ISOブースターは手ぶれが押さえられる程度まで一時的に感度アップするというモードだ。撮影時に手ぶれのおそれのあるシャッター速度になった場合には液晶画面に警告アイコンが表示され、背面の“イージーダイレクトボタン”(本来はパソコンなどに接続して画像転送を行なう)のLEDランプが点灯する。ここでイージーダイレクトボタンを押せば、最高ISO 800まで感度アップするわけだ。必要なときのみに増感するので、普段はノイズが少ない低感度域で撮っている方が、高感度に変更したことを忘れたまま使い続けてあとでガッカリ、といった失敗を防げるので便利だろう。

ちなみに、本機のISO感度はISO 80~1600相当まで指定可能で、オートにした場合は最高ISO 200まで、高感度オートではISO 800まで自動増感される。また、細かい点ではあるが撮影時に(シャッターボタンの半押し状態で)シャッター速度と絞り値、オートにしている場合はISO感度も画面上に表示されるようになったため、手ぶれ限界や画質などを把握しやすい。撮影を上達したいというユーザーには、こうした数値と撮影環境の関係について確かめながら撮ることが上達の近道になるだろう。

付属品一覧

付属品一覧。AVケーブルはイヤホンと同様のもので特別なコネクターを必要としてないのはありがたい。本体下部の電池室フタにはさらに小さな孔が付いており、電池型アダプターを介したAC給電ができるようになっている

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