日本アイ・ビーエム(株)は15日、米国計算機学会(Association for Computing Machinery、ACM)日本支部と日本IBM 東京基礎研究所がプログラミングコンテスト“国際大学対抗プログラミングコンテスト(International Collegiate Programming Contest、ICPC)”の世界大会を12日から16日に開催したのに伴い、同日に行なわれた決勝戦に合わせて同コンテストの概要や、同コンテストの後援を行なっている米International Business Machines(IBM)社のコンテストに対する取り組みなどを説明するプレスセミナーを開催した。
米International Business Machines(IBM)社では教育者/研究者に対して教育/研究に必要なソフトウェアや技術情報、学習資料を無料で提供する“アカデミック・イニシアティブ”をはじめ、教育機関に対しさまざまな支援を行なっている。ICPCの後援はその一環として、1997年から行なっている。
プレスセミナーには、米ベイラー(Baylor)大学教授でICPCのエグゼクティブ・ディレクターを務めるビル・パウチャー(Bill Poucher)氏、米IBMの研究部門である米IBMリサーチのコンピューター・サイエンス・リサーチ担当バイスプレジデントのスチュアート・フェルドマン(Stuart Feldman)氏、米IBM ソフトウェア・グループ ロータス・ストラテジー担当ディレクターでICPC スポンサーシップ・エグゼクティブのダグラス・ハインツマン(Douglas Heintzman)氏、日本IBM執行役員 東京基礎研究所所長の丸山宏氏、米IBM ヒューマン・リソース タレント担当ディレクターのマーガレット・E・アシダ(Margaret Ashida)氏、米IBM イノベーション&ユニバーシティー・リレーションズ担当バイスプレジデントのジーナ・ポール(Gina Poole)氏、IBMアジア・パシフィック社 ユニバーシティー・リレーションズ担当 マーゴ・ロバートソン(Margo Robertson)氏の計7名が出席し、パウチャー氏ら4名が発言を行なった。
パウチャー氏はICPCの概要について語り、「素晴らしい才能を持った学生たちをほかの優れた学生たちと競わせる場であり、そこでは問題を見つけ解決する能力、優れたコードを組む能力、そしてチームのメンバーと協力し合う能力など、さまざまな能力が求められる」と語った。また「ICPCでは世界中のすべての学生にチャンスが与えられる。世界には優れた能力を持ちながらその能力を知られていない学生がたくさんいるが、そういった学生にスポットライトを当てられることもICPCの意義だ」とした。
フェルドマン氏は「我々は将来の研究開発を引っ張る、次世代の業界を代表するようなリーダーを送り出すためにICPCを行なっている。コンピューテイングの世界では、知性と人間性の双方を持った人材を育てていかねばならない」と述べた。また米IBMリサーチと教育機関の連携についても語り、「新しい施策として、昨年末からIBMリサーチと大学との連携を開始した。プロジェクトを共同で立ち上げ、同じプロジェクトに大学の教授とIBMの研究者が携わり、その成果をオープンソースで発表している。それによって研究の成果を早く世間に伝えることができる」と語った。
ハインツマン氏は「米IBMが1997年にICPCのスポンサーになってから10年でコンテストに参加する大学が大幅に増え、参加地域も大きく広がっている」としたうえで、「会場では世界中から集まった学生たちがゲームをしたりコミュニケーションをとったりして、刺激を与えあっている。これこそが世界のあるべき姿だと思う」と語った。
丸山氏は、ACM日本支部と日本IBM 東京基礎研究所が今回ICPCの世界大会を共催することになった経緯について述べ、「ACM日本支部の会員である早稲田大学や慶応大学、東京大学、京都大学などの先生方と“ICPCは極めて大事な大会なのでぜひ日本で世界大会をやろう”ということで意見が一致し、開催することにした。またコンピューターサイエンスは世の中のすべてのイノベーションの基礎となるものだが、日本では学生のコンピューターサイエンスに対する興味が少し落ちかけている。それを変えたいという気持ちもあった」とした。