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工事現場を支える建機の技術――“ちえものづくり展”PART-IIが開幕

2007年01月19日 17時00分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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東京・北青山の青山TEPIA(機械産業記念館)で19日、日本国内の産業や社会活動を支える“知恵”や“もの作り(技術)”を具体的な成果・製品とともに紹介する企画展“TEPIA 第19回展示 ちえものづくり展 PART-II”が開幕した。PART-I(2006年12月23日で終了)では携帯電話機の開発・製造に関する細密加工やバッテリー、小型化などの技術が中心に展示されたが、PART-IIでは(株)小松製作所(コマツ)の建設機械を中心に、そこに込められた最先端技術が分かりやすい形で展示されている。期間は3月23日までで、入場は無料。

乗用車とは違う“建機ならでは”の技術が満載

青山TEPIAの様子

“ちえものづくり展 PART-II”会場の青山TEPIA

会場のメイン展示スペースには、本物の建機こそ置かれなかったものの、エンジン(実物大のモックアップ)、バケット(ショベル部分、実物)、キャブ(乗用車でいうキャビン、運転席)などが設置され、それぞれに独自技術や改良が施されていることが説明された。

そもそも建機は乗用車と違って、長時間に渡って連続稼働されることが多く、場合によっては操縦者が入れ替わりながら24時間フル稼働する場合もある。エンジンも、乗用車は最大回転数まで上げることは普段めったにないことだが、建機では掘る/持ち上げるといった操作で最大回転数のまま維持・稼働するケースが多い。つまり、乗用車とは異なる運用性、安全性を追求する必要があるわけだ。

1/50スケールのミニチュア建機

建機の実機は展示されなかった、と書いたが、1/50スケールのミニチュア建機がいくつか展示されていた。特にこのショベルカー『PC200』は、エンジン部のカバーを開けて、エンジンルームを参照することもできるなど、ディテールにこだわった造型になっている。国内では売られておらず、海外で販売しているものを特別展示したのだという

今回展示されたバケットには、静音性を高める工夫が施されており、ハンマーでバケットの鋼板を叩いてみて音の響きを確認できる。実際に叩いてみると鉄板というよりも木の箱のような低い音が跳ね返るだけで、耳障りな金属音や長く響くことはない。複数の鋼板を重ね合わせることで、騒音の元になる振動が起こると相互の鋼板がこすり合わされて摩擦熱のエネルギーに変換されるため、騒音のエネルギーは1/3以下に抑えられるという仕組みだ。同様の目的の技術として、制震材(吸音材)を鋼板で挟んだサンドイッチ構造を採用するバケットもあるが、鋼板を重ね合わせただけのこのバケットは開発コストが大幅に下げられる(詳細は非公開)ほか、強度や耐摩耗性、リサイクル性などでも優れるという。

1/50スケールのミニチュア建機

キャブ(いわゆる操縦席)の切り出しモデル。中に乗ってみることもできたが、想像以上に居住性が高く、ドアを閉めると内部の騒音は68dB程度と高級乗用車で高速道路を走っているとき以上の静かさだという。ちなみに、フロントガラスはシャッターのように引き上げることができる。これは前方の足下を確認するための機構で、この点も乗用車とは根本的に構造が異なる

キャブのディスプレー。燃料(ディーゼルエンジンなので軽油)とバッテリー、ラジエーターの温度などが一目で分かるだけでなく、これらの情報が遠隔地で集中管理できるという

ASCII24読者的視点で興味深いのは、こうした建機の稼働状況や搭載燃料/ラジエーターの温度/油圧状態などが集中管理できる仕組みになっていること。システムの詳細な説明はなかったが、目的としては故障を未然に防ぎ、非動作時間を最小限にすることだという。

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