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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第12回

ダム欲が止まらない!──圧倒的な非日常感に魅了された「ダムサイト」管理人

2007年11月26日 18時00分更新

文● 古田雄介

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ダムとして機能している感が好き

 

── ダムの魅力について、萩原さんは「自然から非日常が突然現れる」と表現されていますよね。それは、宮ヶ瀬ダムのように巨大な建造物だから得られる魅力ということでしょうか?

萩原 やっぱり、大きいというのが非常に重要だと思うんです。ダムは人工物ではほかに比較になるものがないくらい大きい。しかも、見た目ではなく、機能重視で作られたところが格好いいですね。あとは、密な感じが好きです。何というか「固まり!」って感じが(笑)。

 

── では、ダムの中で一番好きなのは、重力式※1ですかね?

萩原 重力式もいいけど、アーチ式※2ロック式※3もいいなというスタンスです(笑)。あまり型式にはこだわりませんね。全体的にダムというものが愛でられればそれでいいかなと思っています。

※1重力式 重力式コンクリートダム。コンクリートの自重によって貯水池の水圧に耐える構造のダム。ダム本体の体積が大きく、断面図は台形になる。宮ヶ瀬ダムもこの型式

※2アーチ式 アーチ式コンクリートダム。コンクリートをアーチ状に固め、水圧を両脇に逃がす構造のダム。両側面の岩盤が強固である必要がある。日本では黒部ダムが有名

※3ロック式 ロックフィルダム。岩石や土砂を積み上げて作ったダム。タジキスタンにある世界ナンバー1の堤高を誇る「ログンダム」もこの型式

宮ヶ瀬ダム
黒部ダム

宮ヶ瀬ダム(写真左)や黒部ダム(右)のレポートは、ダムサイト内で読める



最高なのは満水のダム

 

── 最初に感性を優先して、あとから理性で分析していくような感じですか。

萩原 そうですね。根源にあるのは感性だけかもしれません。ただ、知識が付くと、見たあとで素人なりにいろいろ頭を使って「なぜこの設備を選んだのか」など、考えたりする楽しみも生まれます。一度行ったダムでも、知識が付いたあとで訪れると、また違った良さが発見できますから。

 

── なるほど。ちなみに、先ほどダム本体が見たいとおっしゃっていましたが、そうなると貯水池の水位が低いほうが楽しいですか?

萩原 いや、満水が最高です。溜めている感、ダムとして機能している感が好きですね。

 以前、団地の専門サイト「住宅都市整理公団※4を運営している「総裁」さんとダムを見に行ったことがあるんです。互いに建造物に対する萌えポイントみたいなものは、だいたい一緒だったんですが、総裁さんは「ダムはいい。でもむしろ水がたまっていなければもっといい」とおっしゃっていたんですよ。そこだけは僕と確実に違うんだなと思いましたね。

 総裁さんは単体の建造物としてダムを見ていて、僕はダムが働いている状況を含めて見るという感じでしょうか。「現役で働いている感」が好きなんですよ。

── 建築と土木の違いが端的に現れていますね。

※4住宅都市整理公団 団地を撮影し、その形態の類似性や差異を比較検討して鑑賞する目的のサイト。ダムサイトと同じく、建造物ブームの立役者

 

(次ページに続く)

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