米国の議会が、半導体の製造装置を製造している日本企業に対し、非常に厳しい内容の法案を提出した。
2026年4月6日のロイターによれば、与野党の複数の議員が、半導体製造装置の輸出規制に関する新たな法案を下院に提出した。この法案は、「MATCH法(Multilateral Alignment of Technology Controls on Hardware Act)」という略称で呼ばれている。日本語訳としては、「ハードウェアの技術管理の多国間整合法案」となるだろうか。
この法案は、これまでの輸出規制とまったく異なる。日本やオランダといった先端半導体の製造装置を製造する有力企業がある同盟国に対しても、150日以内に米国と同水準の規制を実施しなければ、米国が単独で、中国を含む「懸念国」に対して、半導体製造装置を販売することを全面的に禁止するという。つまり、「多国間整合」という言葉どおり、同盟国は米国と足並みをそろえ、半導体製造装置の中国向け輸出を規制しろという法律だと理解できる。4月9日のワシントンポストのニュースレターは、下院外交委員会が4月22日にこの法案を採決する方針だと報じている。
上院外交委員会が4月8日付で公表したプレスリリースには、MATCH法は、敵対国による米国半導体産業の弱体化と国家安全保障上の脅威を防ぐものだとするコメントが掲載されている。
法案が成立した場合、日本の東京エレクトロン、オランダのASMLといった半導体製造装置大手に、大きな影響が生じる可能性がある。中国製のAIが脅威であるのは同意できるとしても、日本には日本の、オランダにはオランダの事情がある。そうであっても、米議会は強硬な姿勢を打ち出してきた。
ファーウェイなどを名指し
上院外交委員会のプレスリリースによれば、法案は、懸念国に対して、半導体製造装置や販売した装置に対する保守サービスの提供を禁じている。さらに、中国の主要な半導体関連企業に対する輸出規制の強化も打ち出している。対象となる企業としては、中国最大のテクノロジー企業ファーウェイ、中国最大手の半導体受託製造SMIC、メモリ製造のCXMT、受託製造の華虹半導体、フラッシュメモリ製造YMTCの5社と各社の子会社、関連会社が挙げられている。
MATCH法は、中国への半導体製造装置輸出の抜け穴をふさぐことを目指しているとされる。ひとつめの抜け穴は、深紫外線(DUV)露光装置だ。
米政府は2022年10月以降、おもにAIのデータセンターなどで使われるNvidia社の先端GPU、A100、H100などについて中国への輸出を禁じた。さらに半導体製造に欠かせない極端紫外線(EUV)露光装置の輸出もすでに制限してきた。しかし、旧世代の深紫外線露光装置については、輸出が続いていた。
深紫外線露光装置は、極端紫外線露光装置ほどの精度はないが、先端に近い半導体を製造することができる。台湾の半導体専門の調査会社TrendForceは、MATCH法が成立した場合、中国の半導体製造企業は将来的に65〜55nmの、やや古い世代の半導体しか製造できなくなる可能性があると分析している。
2つ目の抜け穴が保守サービスだ。米国企業は、すでに中国国内に設置された半導体製造装置に対する修理・保守を禁じられているが、日本やオランダの企業はそのサービスを継続している。オランダのASMLや日本の東京エレクトロンは、エンジニアを中国の半導体製造企業の施設に派遣し、装置の修理やアップグレードに協力してきた。こうした外国企業の存在もあって、中国の半導体産業は、最先端の技術にはおよばないものの、一定レベル以上の製造能力の維持や向上を図ってきたと言われている。
ASMLは、中国に深紫外線露光装置を供給し続けてきたが、MATCH法案が発表された後の4月7日には株価が一時7%下落している。東京エレクトロンも保守サービスなどを中国の製造企業に提供しているため、MATCH法が成立すれば事業への影響は避けられない。
日本は規制強化するのか
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