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小島寛明の「規制とテクノロジー」 第294回

ビットコインに続いて「イーサリアム」商品も証券市場に

2024年07月30日 07時00分更新

文● 小島寛明

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 米国時間2024年7月24日、米国の証券取引所で仮想通貨(暗号資産)イーサリアムの現物を売買する上場投資信託(ETF)の取引が始まった。1月にはビットコインETFの取引も始まっているため、さらに仮想通貨投資へのアクセスが容易になったと言える。7月24日付のウォールストリート・ジャーナルは、9本のイーサリアムETFの取引が始まり、約1億700万米ドル(約164億円)の資金がイーサリアムETFに集まったと報じている。

 仮想通貨の代名詞と言えばビットコインで、その値動きは常にニュースになる。イーサリアムは時価総額でビットコインに次ぐ存在だが、その特徴はビットコインとは大きく異なる。ビットコインは新しい資産として注目を集めてきたが、多数の仮想通貨の中でイーサリアムはその応用性の高さで知られている。

 米国でイーサリアムETFの取引が始まったことで、投資家がイーサリアムを投資の対象とするハードルはより低くなる。ハードルが下がることで、なにか大きな変化が起きるだろうか。

イーサリアムETFとは

 ビットコインETFが始まった際にも紹介したが、ETFを使わない取引の流れは以下のようなものだ。イーサリアムの現物の取引をしたい人は、仮想通貨の取引所(暗号資産交換業者)に口座をつくる。次に口座に日本円を入金し、円をイーサリアムに交換する。つまりイーサリアムを含む仮想通貨は、暗号資産交換業者を通じた取引が基本となる。

 問題は投資家をどう保護するかだ。日本では、マウントゴックスやコインチェックといった巨額の仮想通貨の不正流出事件が起きたことで、取引所を暗号資産交換業者として登録させ、規制下に置いた。5月にはDMMビットコインで約482億円相当の仮想通貨が流出する事件が起きている。

 日本の交換業者は、顧客の資産と会社の資産を分けて管理する「分別管理」が義務付けられている。事件をきっかけに交換業者が経営破たんしたとしても、別の金融機関の口座で管理している顧客の資産を返金できるからだ。世界各国で徐々にこうした規制の導入が進んでいるものの、タックスヘイブンなどを拠点とする海外の取引所が破たんした場合、投資家の資金が保護されるかどうかは不透明だ。

 ETFの取引が始まったことで、投資家は、証券会社の証券口座を通じてETFを売買することができるようになった。米国でも証券会社は規制の対象であるため、証券会社が破たんしたとしても、ある程度投資家保護は期待できる。このため、比較的手堅い投資を行っている機関投資家であっても、仮想通貨に投資しやすくなり、投資家のすそ野が広がる効果があると考えられている。

イーサリアムの幅広い応用性

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