ソニーからAPS-Cミラーレス機「α6700」が発売された。ソニーAPS-C機としてはVlog向け「ZV-E10」やプロ向けカムコーダー「FX3」など動画メインの機種は登場していたが、純粋なαシリーズとしては前モデル「α6600」以来4年振りの新製品になる。正直もう後継機は無いかもと思っていたソニーユーザーとってはうれしいかぎりだ。
最新デザインでグリップも強化
サイズは変わらず軽量化も果たす
ボディーは各所に改良はあるが基本的なデザインは前モデルを継承している。サイズもスペック上では全体に数ミリ程度大きくなっているが、手にしても気になるほどの差はなく、重量は何故か10gほど軽くなっている。大柄になりつつある最近のフルサイズ機とは違い、小型軽量ボディーを維持してくれたのもAPS-Cファンにはうれしいポイントだ。
グリップは「α6600」も従来機から改良されホールド感は良好だったが、今回はさらにサイズや形状を見直し、より手に馴染むようになった。ボディーが小柄なので手の大きい人では小指余りはあるかもしれないが、それでもしっかりと構えることができるグリップだ。
前面シャッターボタン下にはコマンドダイヤルが新設された。後方コマンドダイヤルに背面ホイールと合わせ3つのダイヤルを備えることになり、絞り(またはシャッタースピード)と露出補正、ISO感度といった露出に関わる設定がそれぞれのダイヤルでダイレクトに操作できるようになった。
上面はカスタムボタンが動画ボタンに入れ替わり、シャッターボタンの位置も微妙に移動、モードダイヤルが2段式になるなどの微妙な変更されている。なお細かい点だがシャッターボタン周りの電源スイッチの突起の位置が従来機より右方向に移動している。慣れれば何てことはないのだが、最初は少し違和感があった。
背面も「AF/MF/AEL切換レバー」が「AF-ON」ボタンに変更しカスタムボタンが一つ減っている以外はほぼ同等だが、上面も含めボタン類は押しやすいように少し大きくなりストロークも深くなっている。
マルチセレクターは搭載されていないが、「タッチパッドAF」をオンにしておけばファインダー撮影時でも液晶画面をなぞってスムーズな測距点移動ができる。また初期設定では「AF-ON」ボタンには「押す間トラッキング+AF」オン機能が割り当てられ、AFモードやフォーカスエリアにかかわらず即座に被写体を追尾して測距点が移動する。このように「タッチパッドAF」や「AF-ON」ボタンによる「トラッキングAF」を活用することでストレスのないピント合わせができた。
背面液晶は上方180度まで可動したチルト式からスタンダードなバリアングル式に変更された。熱狂的なチルト式信者には残念だが、これも時代の流れだろう。
メニュー画面はタッチ操作に対応した最新のαシリーズと同じタイプに。従来機のメニュー画面から一新されたので最初は戸惑うかもしれないが、慣れれば断然使いやすいはずだ。
EVFの解像度は236万ドットと前モデルから変わらないが、輝度は約2倍に向上しているらしく、確かにスペックよりはクリアに見える。
メディアスロットは独立して側面に移動し、その上下に端子類が配置されている。スロットや端子のカバーは3段階に分離いて、それぞれがキッチリ開閉するのが気持ちいい。
バッテリーは変わらず現行フルサイズのαシリーズと共通の「NP-FZ100」。サブカメラとして運用したい人も安心だ。公称の撮影可能枚数は約550枚をスタミナも十分。
AIプロセッシングユニット搭載で
最強の被写体認識機能を実現
「α7RⅤ」に続きAIプロセッシングユニットを搭載し、被写体認識機能を実現した。人物や動物/鳥にくわえ、車/列車や飛行機、昆虫が選択できる。実際に試してみると被写体が明確に見えている状況ならいずれも問題なく認識してくれる。
ただ測距点の範囲内で認識するので前ボケなど状況よってはワイドからやスポットにフォーカスエリアを切り替えるといった工夫をしたほうが認識率は高い。
また被写体を問わず認識するオート機能は非搭載なので対象に合わせ切り替える必要があり、被写体認識オンだと稀に誤認識をすることもあったので、カスタムボタンに被写体認識のオンオフや認識対象の切換機能を割り当てるといいだろう。
センサーの画素数は変わらないが
高感度の画質は向上
撮像素子の画素数は2600万画素と前モデルの2420万画素と大差はないが、実際に撮影した写真を拡大して見ても細部まで精細に解像されている。
撮っていて気が付いたのはテキパキとピントが合うAFの心地よさ。特に「トラッキングAF「は粘り強く移動するので、まず被写体にピントを合わせ、その後構図を変えて撮影するスナップに向いている。つい新機能の被写体認識に目がいくが、基本的なAF性能もかなり優秀に感じた。
また裏面照射型になったことで高感度の画質には期待が持てる。最高感度は常用でISO32000、拡張でISO102400まで設定が可能。ノイズ処理の影響はISO6400程度からを感じ始めるがISO12800程度までは実用できる範囲。それ以上になるとノイズや解像感低下が気になるが、細部を拡大して見なければ常用最高のISO32000までは許容できる。
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