アップルとグーグルのアプリストアに対して、アメリカ政府が厳しい姿勢を強めている。
バイデン政権は2023年2月1日、アップルとグーグルが「アプリ開発者に不要な障壁とコストをもたらしている」などと批判する報告書を公表し、議会に対して法律の整備を促した。
米AP通信によれば、バイデン大統領は「競争なき資本主義は資本主義ではないという私の発言を聞いたことがあるだろう。それは単なる搾取だ」と述べた。
2社によるアプリストアの寡占状態は、日本でも以前から問題視されてきたが、抜本的な解決策は示されずにいた。
今回、バイデン政権が明確に寡占状態を是正する方針を打ち出したことが、2社の寡占状態が解消されるきっかけになるのだろうか。
現在は2大アプリストアの寡占状態
現在、iPhoneを使っている人はApp Store、Androidスマホを使っている人はGoogle Playストアでアプリをダウンロードしている。
PCでも使うウェブアプリなど一部の例外はあるが、料金を支払う必要があるときは、これらのアプリストアを通じて料金を支払っているはずだ。
これが、現時点でのスマホユーザーの現状だろう。
エンドユーザーとしては、米議会が法律をつくり、アプリストアの寡占状態が是正された場合、スマホの使い方がどのように変化するかが気になる。
米商務省国家電気通信情報庁(NTIA)の報告書「モバイルアプリのエコシステムにおける競争」には、議会に対して具体的に「こうしてほしい」という趣旨の勧告が、多数記載されている。
「代替アプリストア」は成立するか
まず、アプリストアだ。アップルとグーグルのアプリストアに代わるサードパーティーによる「代替アプリストア」を簡単にインストールできるようするよう求めている。
「代替アプリストア」はすでに一部存在している。最も認知されているのは、Amazonアプリストアだろう。
アマゾンはすでに、Android向けにアプリストアを提供しており、「Amazonコインを使うとアプリ内課金や有料アプリの購入がおトクに」という解説ページもある。
ただ、アマゾンが開発・販売しているタブレットには、アマゾンのアプリストアがプリインストールされているが、かなり前から品揃えが少ないと指摘されている。
欧州では2022年11月に「デジタル市場法」が施行されており、アップルは2023年にApp Storeを使わなくても、アプリをインストールすることを可能にすると報じられている。
仮に2023年中にiPhone上でも代替アプリストアが解禁され、アマゾンやマイクロソフトなどがアプリストアをリリースしたとしても、当面は品揃えなどで苦戦することは必至だろう。
とは言っても、バイデン大統領が言うように、競争が促されることで、各社のアプリストアが併存し、激しく品揃えや価格競争を繰り広げるなら、開発者の手数料負担や、アプリの価格低下、ひいてはイノベーションにもつながると期待したい。
米商務省の報告書は、App Storeを経由せずにiPhoneにアプリをインストールしたり、課金したりする「サイドローディング」にも触れている。
サイドローディングは、オンラインゲーム「フォートナイト」を巡って、注目を集めた問題だ。
報告書は、「サイドロードの制限の緩和」などを通じて、アプリを配布する代替的な方法を多様化するよう求めている。
AndroidでSafariが使える日
米商務省の報告書は、モバイル端末のウェブブラウザについても、勧告を出している。
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