岸田文雄氏が10月4日、第100代内閣総理大臣に就任した。
新型コロナウイルス対策を筆頭に膨大な課題が目の前にあるが、この連載としては、やはりデジタル政策が気になる。
菅義偉前首相の政権では、デジタル庁設立が目玉政策のひとつとされたが、今回の自民党総裁選でデジタル関連の政策が活発に議論されたとは思えない。
とは言っても、岸田首相は総裁選の中でも、いくつかデジタル関連の政策を打ち出している。
4日の就任会見で岸田首相は「デジタル田園都市国家構想」に言及した。
「デジタル田園都市国家」とはなにか
そもそも新首相が述べた、デジタル田園都市国家とはなんだろうか。
会見で岸田首相は「地方からデジタルの実装を進め、新たな変革の波を起こし、地方と都市の差を縮めます」と述べている。
この「田園都市」構想には、実はけっこう長い経緯がある。話は、1978年から1980年に在任した大平正芳首相の時代にさかのぼる。
自民党のデジタル社会推進特別委員会がまとめた提言によれば、大平氏はかつて、こう述べている。
「都市の持つ高い生産性、良質な情報と、田園の持つ豊かな自然、潤いのある人間関係を結合させ、健康でゆとりのある田園都市づくりの構想を進める」
この言葉だけでは、わかったようでよくわからない。
『ブリタニカ国際大百科事典』によれば、田園都市は、大都心の郊外にあり、農村のような景観が残っている地域の住宅街を指す。
東京など日本各地の大都市の郊外には、住宅街が広がっているが、そこに企業も立地し、職住近接の都市をつくることが構想されていたようだ。
この構想が40年を経て復活したのが今回の「デジタル田園都市国家構想」だと理解できる。
自民党の提言は「デジタル・ニッポン2020 〜コロナ時代のデジタル田園都市国家構想」というタイトルが付けられていて、ここでも田園都市の言葉が見られる。
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