ASCII Power Review 第135回
カメラアプリもディスプレーも速度も最高でした
Xperia 1 III 実機レビュー = ソニーαユーザーは必携の最上位スマホだ!
2021年07月16日 10時00分更新
ソニーはフラッグシップスマートフォン「Xperia 1 III」を発売した。ドコモ、au、ソフトバンクが7月9日から販売を開始している。
ソニーの力を結集した「One Sony」の成果であるXperia 1シリーズ3世代目の最大の特徴はなんと言ってもカメラ。16mmの超広角レンズ、24mmの広角レンズに加えて、世界で初めて「可変式望遠レンズ」を新搭載。光学的に70mmと105mmの焦点距離を切り替え可能だ。梅雨の合間を縫ってカメラテストを敢行した。
スペックを見るだけでソニーの本気が感じられる一台
Xperia 1 IIIはOSに「Android 11」、プロセッサーに「Qualcomm Snapdragon 888 5G Mobile Platform」を採用。メモリー(RAM)は12GB、ストレージ(ROM)は256GBを搭載。最大1TBのmicroSDXCメモリーカードでストレージを増量できる。
ディスプレーは約6.5インチ4K有機EL(3840×1644ドット、21:9)を採用。リフレッシュレートは120Hz、タッチサンプリングレートは240Hzとゲーミングスマホと同等の仕様で、なおかつブラビアの技術を生かした高画質エンジン「X1 for mobile」、低解像度の画像を高精細化する「4Kアップスケーリング」、SDR相当の映像をHDR相当に変換する「HDRリマスター」などの高画質技術を実装。またHDR規格、BT.2020の色域、10bit入力に対応して制作者の意図通りの映像を表示する「クリエイターモード」も用意されている。
なお、4K 120HzのHDR対応有機ELディスプレーはスマホでは世界初だ。
カメラは、背面に超広角カメラ(16mm、F2.2、約1220万画素)、広角カメラ(24mm、F1.7、約1220万画素)、望遠カメラ(70mm・105mm、F2.3・F2.8、約1220万画素)、3D iToFセンサー、前面にインカメラ(F2.0、約800万画素)を搭載。「可変式望遠レンズ」により、3つのカメラで4つの焦点距離を撮り分けられる。また、すべてのカメラに高速なオートフォーカスを実現するための「Dual PD(デュアルフォトダイオード)センサー」が搭載されている。
カメラアプリは「Photography Pro」に統合。一般的なスマホカメラと同じUIを採用した「BASICモード」と、αシリーズから継承されたUIでこだわりの撮影が可能な「AUTO/P/S/M/MRモード」を利用できる。もちろん「RAW」、「RAW+JPEG」、「JPEG」とファイル形式は選択可能。じっくりと現像を楽しめる。
αシリーズから受け継いだのはUIだけではない。被写体をタップするだけでフォーカスを合わせ続ける「リアルタイムトラッキング」、撮影時に瞳を検出して正確にピントを合わせる「瞳AF」、カメラキーを半押しすると瞳を検出してピントを合わせ続ける「リアルタイム瞳AF」などを利用可能。なお動画撮影用には「Cinematography Pro」がプリインストールされている。
ワイヤレス通信機能はミリ波対応の5G、Wi-Fi 6(11ax)、Bluetooth 5.2をサポート。ミリ波の5Gをつかめる施設では、撮影した写真、動画を高速にアップロードできるわけだ。
本体サイズは約71×165×8.2mm、重量は約188g。バッテリーはXperia史上最大の4500mAhを内蔵している。防水等級はIPX5/IPX8、防塵等級はIP6Xだ。
Xperia 1 IIIは、4K 120HzのHDR対応有機ELディスプレーと、可変式望遠レンズで世界初が謳われている。スペックを見るだけでソニーの本気を感じさせる一台だ。
梅雨の曇天でもXperia 1 III搭載カメラの高い性能を実感
今回天気に恵まれなかったため、カメラテストは曇天で実施したが、それでもXperia 1 IIIのカメラのハイポテンシャルを実感できた。リアカメラの画素数はすべて約1220万画素だが、それはバランスを考えたソニーのあえての選択。4800万画素のイメージセンサーを作り、他社に提供しているが、ソニー自身は約1220万画素のイメージセンサーがスマホにベストマッチと考えているのだろう。
Xperia 1 IIIでカメラテストを実施して特に印象的だったのが、ダイナミックレンジの広さとノイズの少なさ。たとえば空をバックにして木の葉を撮影しても、1枚1枚の微妙な色合いの違いを表現できている。夜景を撮影すると明るい看板や外灯などが白飛びしがちだが、人の目で見るのと同じように綺麗に撮影できている。さらに夜景の撮影では空の部分に変な模様やノイズが出がちだが、Xperia 1 IIIではグラデーションが滑らかに記録されている。単に明るく撮れるという点では本製品を上回る端末はあるが、夜景モードの総合的な画質でXperia 1 IIIはトップレベルだと思う。
超広角、広角、望遠カメラの発色が統一されているのは初代Xperia 1からの美点だが、「可変式望遠レンズ」を採用したXperia 1 IIIでもそれは変わらない。まるでひとつのズームレンズで撮影したかのような統一感だ。また、最大倍率はデジタルズームを併用して12.5倍だが、21インチディスプレーぐらいまでならフルスクリーン表示しても鑑賞に耐える画質が保たれている。
カメラアプリ「Photography Pro」もαシリーズのUIを継承しており、ソニーのカメラを使い慣れている方にXperia 1 IIIは最上のスマホなのだ。
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